ライブコマースでの法的トラブル回避のために知っておきたい法律知識6選

2021年9月12日

ライブ配信を用いた新しい販売・マーケティング手法としてライブコマースが注目されています。比較的簡単に始められるライブコマースですが、基本的な法律知識がなかったためにトラブルに見舞われてしまったという声もあります。本記事ではライブ配信やライブコマースを実施するうえで知っておきたい法律知識を紹介します。

注目を集めるライブコマース

顧客と対面でコミュニケーションをとる形での接客対応とオンラインを活用した顧客対応を両立させる企業も増加しています。
中でも、リアルタイムに顧客とコミュニケーションを図りながら商品を紹介できる「ライブコマース」に注目が集まっており、今後も活用は広がっていくものと予想されています。

ライブコマースは、視聴者は配信者に質問をすることですぐに回答をもらえるため、商品に対しての疑問や不安などをその場で解消することができます。
さらに、映像と音声による商品紹介によって、従来 EC よりも多くの情報を提供することができます。加えて、ライブ配信自体がエンターテインメント性の高いコンテンツとなるため、配信自体やブランドへのロイヤリティが高まる効果も見込めます。

ライブコマースのメリットについては以下でもさらに詳しく紹介しておりますのであわせてご覧ください。

このようにライブコマースには多くのメリットがある一方、ライブ配信・ライブコマースを実施するうえでトラブル回避のために留意しておきたい法的なポイントもあります。

そこで、続いてはライブコマースでトラブルを避けるために知っておきたい法律知識について紹介します。

ライブコマースでの法律トラブルを回避するために知っておきたい基本の法律知識6選

まずは、ライブ配信を実施するうえで、留意しておきたい基本的な法律知識について紹介します。
ここではライブ配信時に気をつけるべき4つの権利とライブコマースでの商品販売時に留意しておくべき2つの法律を紹介します。

ライブ配信時に知っておきたい法律知識

① 肖像権

ライブ配信をするにあたって、気をつけたい法律の 1 つ目は肖像権です。
ライブ配信は屋内外問わず、さまざまな場所で実施することができます。だからこそ、気をつけなければいけないのが肖像権です。過去の最高裁の判決では、「個人の私生活上の自由の 1 つとして、何人もその承諾なしに、みだりにその容貌などを撮影されない自由を有する」としています。

屋外や公共性の高い場所など人が集まる場所や、個人的な空間でライブ配信をする際は、映り込みによって個人が特定されないような配慮をしなければ思わぬトラブルにつながってしまうケースもありますので、注意が必要です。

例えば、屋外特設会場での様子をライブコマースで配信し、オンラインからも集客する場合、会場にいる人の映り込みを考慮し配信を行い予期せぬ権利侵害によるトラブルを回避する必要があります。

② プライバシー権

プライバシー権にも配慮した撮影が求められます。
プライバシー権では、以下の 3 要件が定義されており、これらの要件を満たす情報を公開してしまうことでトラブルに発展してしまう可能性があります。
(1)公開された内容が、私生活上の事実は又は事実らしく受け取られるおそれがあること
(2)一般人の感受性を基準にして当該個人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められること
(3)一般の人々にいまだ知られていないことがらであること

ライブコマースを実施するにあたっては、これらの要件を満たす事柄を本人の同意無く公開しないよう細心の注意を払いましょう。
例えば、配信者に合意無く、配信者の私生活を犠牲にしてしまうような形で商品の情報提供を行うことや、配信者のプライバシーを侵害してしまうような文言をサムネイルに記載しないように考慮しライブコマース実施やアーカイブを残すことが必要です。

③ パブリシティ権

芸能人などの有名人の氏名や肖像にはパブリシティ権が存在します。
パブリシティ権では有名人が持つ肖像や氏名の顧客吸引力(経済的価値)を認めるもので、その利用には対価を要求することができると考えられています。有名人の承諾無く氏名や肖像を自社コンテンツの利益のためなどに利用するなどした場合には、パブリシティ権の侵害にあたると判断されてしまう可能性があります。

例えば、ライブコマースへの集客や製品紹介に有名人の名前や肖像を無断で使用してしまい、後日トラブルが発生してしまうこともあるため、「有名人の○○さんが愛用している!」のような文言を許可なく配信してしまわないように考慮して台本やサムネイル、集客文言を制作する必要があります。

④ 著作権

コンテンツの対象として他の人が創作したものを利用する場合には、著作権にも注意する必要があります。ライブ配信中に利用する音楽や動画などには創作者に著作権があります。著作者の許諾無く、これらをコンテンツに利用した場合は、著作権の侵害となってしまいます。

例えば、ライブコマース実施中に著作者の許可が下りていないBGMを無断で使用したり、著作者の許可を取っていない画像を商品説明や配信用アカウントのアイコンとして使ってしまうことは著作権の侵害にあたりトラブルが発生する可能性があるため、使用したいコンテンツがある場合は事前の確認が重要です。

以下では美容・コスメ業界のライブコマースを一例に上記以外に留意すべき法律について紹介しておりますのであわせてご覧ください。


ライブ配信を実施する際には、これらの法律に抵触しないように注意して配信をするようにしましょう。

商品販売時に知っておきたい法律知識

ライブコマースの目的は商品を販売することにあります。
ここでは、商品を販売する際にも留意しておきたい基本的な法律知識について紹介します。

⑤ 特定商取引法

特定商取引法では、通信販売における広告の表示事項、誇大広告などが禁止されており、ライブコマースでの商品販売においても留意する必要があります。特に注意しておきたい事項は以下の 2 つです。

・広告表示
特定商取引法第 11 条では、広告に表示する事項について定められており、販売価格や代金などを、取引の条件や販売者などの情報を明確に表示することが義務付けられています。

・返品に関する内容
返品に関する内容についても定められており、通信販売では商品が届いてから 8 日間以内であれば送料を消費者負担で返品可能とされています。一方、広告などで返品特約に関する記載がされている場合にはその限りではないとされています。この特約を有効にするためには、他の事項に埋もれていない形で消費者にとって判りやすく記載する必要があります。

⑥ 景品表示法

景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示を行うことを規制するとともに、景品類の最高額を制限することなどにより過大な景品類の提供を防ぎ、消費者が良い商品を合理的に選べる取引を実現するための法律です。
「優良誤認表示」と「有利誤認表示」が禁止されているため、ライブコマースでは視聴者を盛り上げるために営業トークが行き過ぎてしまうことで、「著しい」誇大広告にならないようにする必要があります。

これら以外にも紹介する商品によっては、留意すべき法律や権利があるためライブコマースで紹介したい商品やサービスにはどのような権利や法律が絡んでいるのか事前に確認することが重要です。

基本的な法律知識を押さえてライブコマースを活用!

前述のような法律知識は、ライブコマースを成功させるためにも知っておくことが重要です。

しかし、法律そのものが難解であったり、ライブコマースの準備や商品理解、その他の業務などで時間が取れないこともあるため、不安な方はライブコマースの伴奏型コンサルティングを活用することをおすすめします。ライブコマースでの法律トラブルを回避し安心してライブコマース成功への施策実施には、法律知識以外にもさまざまな知識が必要です。
17LIVE のライブコマース伴奏型コンサルティングサービス「 HandsUP 」では、初めてライブコマースを行う方でも安心のサポートを受けることができます。

ライブコマースを始めてみたいといった方は是非、活用してみてください。
伴奏型コンサルティングサービスについては以下でも詳しく紹介しておりますのであわせてご覧ください。

伴走型コンサルティング

このコラムを書いたライター
HandsUP 運営事務局
HandsUP 運営事務局
HandsUPは全世界5,000万ユーザーを抱えるライブ配信プラットフォーム「17LIVE」が提供するライブコマースソリューションです。本サイトでは弊社がライブ配信で培ったノウハウを生かし、ライブコマースに関するトレンド・業界動向からノウハウ、成功事例まで、ライブコマースの実践に役立つ様々な情報をお届けします。