ライブコマースにおけるKOLとは?KOCやインフルエンサーとの違いについて解説
ライブコマースを実施するうえで重要な要素となるのがKOLです。しかし、日本ではあまり聞き慣れない言葉のため、KOLという言葉自体知らなかったという方や、聞いたことはあるもののインフルエンサーとの違いをよく理解していないという方もいるでしょう。
そこで本記事では、KOLの基礎知識をはじめ、中国市場におけるKOLの状況、日本のライブコマースで起用するときのポイントを紹介します。KOCやインフルエンサーとの違い、自社でKOLを育成する方法も紹介しますので、参考にしてみてください。
ライブコマースの成功に重要なKOLとは
そもそもKOLは、キーオピニオンリーダー(Key Opinion Leader)を意味し、それぞれの単語の頭文字を取って「KOL」と呼ばれています。
もともとKOLは医療業界用語であり、製薬企業で販売促進に優れた影響力を持つ専門家や医師などを表す総称でした。しかし近年では、ネット業界で強い発信力を持つ人を指す言葉として使われています。
KOLは、ある特定の分野で強い影響力を持っていることが特徴です。コスメやファッション、食品、ゲームなど、KOLによって得意分野は異なり、KOLの発信が商品の売上を左右するといっても過言ではありません。
KOLとKOCの違い
KOLと混同しやすい言葉にKOCがあります。KOCとは、キーオピニオンコンシューマー(Key Opinion Consumer)の略名です。消費者の立場から商品レビューを行い、他の消費者の購買意欲を促します。
影響力が強い点ではKOLと似ていますが、KOCはKOLのようにSNSなどのフォロワー数獲得にはあまり力を入れていません。発信力には優れているものの、あくまでも自身が使ってみた感想を正確に伝えるのがKOCの役割です。そのため、どちらかといえば消費者目線の考えを持っています。
KOLとインフルエンサーの違い
インフルエンサーは影響力を与える人という意味を持っており、一般的にはKOLもインフルエンサーに含まれると考えられています。
しかし、インフルエンサーは幅広い活動者が該当するため、KOLのような特定分野の専門性は持ち合わせていない方も含まれます。
発言の一つひとつに影響力はあるものの、全員が商品に対する説得力や訴求力を持っていない点が特徴です。一方、KOLはある特定の分野の専門知識を活かして、消費者への購買意欲を促すことを得意としています。
トップKOLは3カ月で570億円を売り上げた実績がある
トップに立つKOLは、3カ月で570億円を売り上げた実績があるといわれています。
世界最大のソーシャルコマースプラットフォームであるタオバオライブの上位インフルエンサーの売上実績によると、1位は中国で「ライブコマースの女王」と呼ばれているviyaが2020年1~3月のタオバオライブにおいて、期間集計で570億円を売り上げました。得意分野はSK-Ⅱ、ランコム、P&Gなどの美容系です。
viyaは、2016年にライブ配信者としてライバーデビューしました。その3年後の2019年6月に実施された「618祭り」と呼ばれるECの販促セールでは、取引額80億円という数字を叩きだしています。
ライブコマースで消費者がKOLに注目する理由
KOLは、ライブコマースの成功を左右する重要な存在です。ライブコマースにとって多大な利益をもたらしてくれるKOLですが、消費者はなぜKOLに注目するのでしょうか。
ライブコマースの消費者がKOLに注目する主な理由を3つ紹介します。
KOLとのコミュニケーションを期待している
ライブコマースでは、コメントを通じてKOLと消費者がコミュニケーションを取ることが可能であることから、消費者はKOLとのコミュニケーションを期待しています。
「そのワンピースの丈は?」「色違いの商品はある?」といった疑問に回答してくれるだけではなく、「こんにちは」「いつも見てます」などのちょっとした会話ができることもライブコマースの魅力といえるでしょう。
テレビに出演する芸能人とは異なり、KOLという存在は身近に感じられます。だからこそ、消費者は自身の好きなKOLとのコミュニケーションを期待して、ライブコマースの配信を視聴するのです。
配信コンテンツを楽しみにしている
単純に配信コンテンツの視聴を楽しみにしている消費者もいます。商品のチェックというよりも、好きなKOLの配信をすべてチェックしたいという熱意から、ライブコマースの配信を視聴するのです。また、KOLによっては、他の配信者にはないコンテンツを提供している人もいます。
例えば、中国には世界でより早くKOLのトップの座に君臨したリー・ジャーチーという男性のビューティーアドバイザーがいます。彼は商品を紹介するにあたって、自身が口紅を塗るパフォーマンスを行いました。このパフォーマンスが消費者の関心や共感を集め、結果的に3億2,000万円の売上を突破したのです。
ビューティーアドバイザーという専門性に加え、よくない商品は忖度なしで切り捨てるというサバサバした人間性から、彼の配信コンテンツには多くの視聴者が集まります。
このように、チェックしたい商品があるからという理由ではなく、配信コンテンツそのものに価値を見出して視聴するユーザーも数多くいるのです。
信頼するKOLが紹介する商品を購入したいから
多くの消費者は、信頼する人がおすすめする商品を購入したいと考えています。特定の分野に精通したKOLであれば、正しい専門知識と商品知識を持っているため、安心して購入できるでしょう。
また、KOLが活躍する中国では、消費者側も専門知識を持っていることを理解しているため、KOL側はそうした消費者の期待に応えようと、日々努力を重ねています。その結果、KOLはさらに専門知識に詳しくなり、信頼性が高まって注目されているのです。
日本のライブコマースでKOLを活かすためにはどうしたらよい?
日本では、KOLとして活動する配信者はあまりいません。そのため、KOLを起用するノウハウ自体が蓄積されていない企業が多いのが現状です。また、知識のないままライブコマースにKOLを起用しても、成果につながらないおそれがあります。
そこでここからは、日本でライブコマースにKOLを活用するためのポイントを紹介します。
専門分野に特化したKOLを探し出す
まずは、自社の分野に特化したKOLを探し出すことが重要です。KOLの仕事は、商品を一方的にアピールすることではありません。消費者からリアルタイムで飛んでくる質問に対応できる柔軟性や商品知識の豊富さが問われます。
そのため、自社の業界にどれだけ精通しているかをチェックし、そのうえでコミュニケーション能力などを慎重に見きわめてKOLを選出しましょう。
自社の商品に対応したKOLを育成する
日本において、KOLの認知度はまだ高くなく、中国ほどの人数もいません。そのため、KOLを一から探すのではなく、自社製品の知識を持ったKOLを自社で育成することもひとつの方法です。
育成には時間的にも金銭的にもコストを要しますが、めきめきと頭角を現わしてもらえたら、何倍もの利益となって返ってくることでしょう。先述した「リー・ジャーチー」がその一例です。彼はもともと一般のビューティーアドバイザーでしたが、今では中国を代表するKOLに成長しています。
KOLを育成するときに重要な4つのポイント
KOLを自社で育成するときには、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
・表情
・声量
・商品知識
・インタラクション
それぞれのポイントの内容や重要性を紹介します。KOLの育成を検討している方は参考にしてみてください。
表情
まず重要なのが表情です。基本的には笑顔で配信を行うことを徹底し、そのうえで喜怒哀楽の表情を出せればなおよいでしょう。
KOL自身が楽しんで配信していれば、その雰囲気は画面を通じて視聴者に伝わります。その結果、視聴者も配信を楽しめるため、結果としてハートクリックやコメントも増えていくことが期待できます。
ライブコマースは直接人と接するわけではないため難しい部分もありますが、目の前にお客様がいると思いながら笑顔を意識しましょう。
声量
声量も大事なポイントです。うまく聞き取れないほど声が小さくては、せっかくの商品のよさが伝わりません。快活で自信にあふれた印象であれば、視聴者も安心して商品を購入できるでしょう。
大きな声を出すことが苦手な方もいるかもしれませんが、しっかりと前を向いて画面まで声を届けることを意識することが大切です。また、声量に自信がない方でも身振り手振りを交えることで画面に動きが出るため、声の小ささをある程度カバーできます。
商品知識
商品知識は配信における基本的なスキルです。商品の特徴やメリットを正確に伝えられれば、視聴者の購買意欲も向上します。商品知識は独学でも勉強できますが、社内研修を実施すると、より深い知識を効率よく身につけてもらえるでしょう。
また、商品を紹介するときに、とくに重要なポイントは次の2つです。
・大事なことは繰り返しアナウンスする
・商品に関する質問は必ず回答し、言い切る
商品のメリットやベネフィットは必ず伝える項目ですが、とくにアピールしたいことは繰り返しアナウンスしましょう。
そして、質問に対してはできる限りすべて回答するように意識し、回答の内容も曖昧にせず言い切る形で返答することを意識してください。
インタラクション
インタラクションとは、簡単にいうと視聴者の反応のことです。ライブコマースにおけるインタラクションは、次の4つに分類されます。
・「かわいい」「素敵」などの【感想】
・「サイズは?」「色は?」などの【質問】
・「近くで見たい」「全体のコーデをもう一度映して」などの【要望】
・「明日お店まで行きます」「買います」などの【意思】
それぞれの反応に合わせた返しをすることで、視聴者のテンションが上がり、購買意欲が向上するでしょう。
インタラクションで伸び悩んでいる場合、消費者に「応援してください」とハートクリックを促したり、「皆さんはどちらが好きですか?」と質問を投げかけたりすると改善につながります。
自社のライブコマースに適したKOLを起用しよう
自社商品をアピールするには、その分野に特化したKOLを起用しましょう。また、KOLを自社で一から育成する場合は、表情や声量、商品知識、インタラクションを意識するのがポイントです。
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また、ライブコマースに特化した人材も多数所有しているため、KOLを探している方もぜひ活用を検討してみてください。