越境ECで化粧品販売を成功させるためのポイント!狙い目の国も紹介

2024年5月14日

越境ECの中でも高い人気を誇る化粧品販売ですが、成功させるためには押さえておきたいポイントがあります。また、適切なプロモーションをおこなうためには、海外で化粧品が人気の理由を知っておくことも重要です。

そこで本記事では、越境ECで化粧品販売を成功させるためのポイントや人気の理由について解説します。また、越境ECで化粧品を取り扱うメリット、デメリットも紹介するので、これから越境ECに挑戦する方はぜひ参考にしてみてください。

越境ECで化粧品が人気の理由

越境ECで化粧品が人気の理由

インターネットやグローバル化の発達が進む中で、企業や個人の参入が急激に増加している越境ECですが、その中でも人気が高いのが化粧品です。

なぜ化粧品販売の越境ECに人気が集中しているのでしょうか。ここでは、主な理由を3つ解説します。

日本の化粧品の信頼度が高いため

化粧品販売の越境ECに人気が集中している理由の一つが、日本の化粧品に対する信頼度が高いことです。

日本には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」があり、この中には化粧品も含まれています。化粧品では含まれる成分・製造販売業者・使用説明書・副作用・容器の耐久性など、さまざまな事柄が規定されており、これらすべてをクリアしなければなりません。日本の化粧品は、このような厳格な品質管理のもとで製品の開発や販売がおこなわれています。

このように、高い品質が保証されているため、国外で日本の化粧品のニーズが高まっているのです。

コロナ禍でEC化が進んだため

化粧品の越境ECの人気が高まっている理由として、コロナ禍の影響も挙げられます。

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていた時期、外出禁止令が発令された国も多く、ショッピングなどの外出が難しくなりました。

しかしその一方で、多くの人たちの購買意欲は落ちることはなく、これまでECを利用していなかった層も、オンラインでのショッピングをおこなうようになったのです。その結果、オンラインでのショッピングの利用者が増加し、これに対応すべく企業も積極的に参入・展開しました。

化粧品業界も例外ではなく、越境ECでも人気を集めているのです。

特に中国の需要が高いため

世界中からの人気を集めている日本の化粧品ですが、特に中国での需要が高い傾向にあります。その理由として主に次の点が挙げられるでしょう。

・日本の化粧品は高品質である
・中国では品質の良くない製品がある
・越境ECの利用でメーカーから直接購入できる(偽物を手にする可能性が低い)

中国で日本の化粧品が人気を集める背景には、中国国内では偽物や品質の良くない製品が出回っていることがあります。また、化粧品は直接肌につけるものであるため、少しでも安全面・品質面が高いものを使用したいと思う人は多くいます。

そのため、越境ECでより安全に購入したいと考える中国人に、日本の化粧品は人気なのです。

化粧品の越境ECで狙い目の国とは?

化粧品の越境ECで狙い目の国とは?

日本の化粧品需要が高く、狙い目の国としては、次の3つの国や地域がよく挙げられます。

・中国
・アメリカ
・東南アジア

上記の国と地域について、おすすめの理由もあわせて解説します。

中国

化粧品の越境ECで狙い目の国として、中国は外せません。その理由は、人口の多さとEC市場の大きさにあります。

経済産業省が2022年8月に公開した越境ECの市場規模調査では、中国の越境EC購入額が4兆7,165億円となっています。これは日本・アメリカと比較しても群を抜いて高い数字であるため、巨大な市場であるといえるでしょう。また、中国のEC市場は、順調に拡大しているため、今後も成長していく可能性が高いです。

参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)

しかしその一方で、中国は政策で状況が一変する国であることを忘れてはいけません。突然の規制で越境ECによる購入額が激減する可能性も秘めており、安定した市場とはいえないのが現状です。

化粧品販売の越境ECとして中国は欠かせない市場ではありますが、不安定さもある点に注意しておきましょう。

中国の越境EC市場については以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:中国越境EC市場の最新動向と攻略法|中国EC市場の特徴も解説

アメリカ

アメリカは中国に比べると、市場規模は少し小さめです。しかし、経済産業省が公開した越境ECの市場規模調査では2兆409億円となっており、伸び率だけで見ると19.30%と中国の10.70%を押さえて1位となっています。

参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)

購入額では中国の半分程度ですが、人口比率を考えるとアメリカも決して引けを取らない巨大市場といえるでしょう。

また、国の人口推移で見た場合、アメリカは緩やかな増加傾向にあります。このため、アメリカの市場は今後も拡大傾向にあるとの見方ができるでしょう。

東南アジア

インドネシアやフィリピン、ベトナムをはじめとする東南アジアも狙い目の国々です。その理由として、次のような点が挙げられます。

・成長市場である
・物流に関するコストが低い

東南アジアは近年、高度経済成長期に突入しており、個人の購買意欲も高まりを見せつつあります。また、越境ECそのものに慣れた国民が多い国も複数あることから、今後も市場は拡大していくと予想されています。

越境ECを展開するにあたって、物流に関連したコストがネックになりますが、東南アジアはそのコストが低いことから売上が伸ばせると判断している企業も多いです。

越境ECで化粧品を販売するメリット

越境ECで化粧品を販売するメリット

化粧品を越境ECで取り扱うことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、越境ECで化粧品を販売するメリットを3つ紹介します。

越境ECの市場規模は拡大しつつある

化粧品の越境ECのメリットとして、市場規模の拡大が挙げられます。現在は先進国に限らず、世界各国でインターネットやスマートフォンが普及しています。また、Amazonなどの物流サービスも展開されており、EC市場は順調に拡大しています。

さらに、貨物船の高速化や航空便の増加など、輸出や輸入に関する物流システムもさまざまな進化を遂げ、以前よりも海外への出店ハードルが下がり、越境EC市場も盛り上がっています。このため、以前よりも越境ECを利用しやすくなったのです。

越境ECの市場規模については、以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:越境ECの市場規模|国別EC市場シェアランキングを紹介

低リスク・低コストで始められる

越境ECは実店舗による事業展開とは異なり、低コスト・低リスクでスタートできる点もメリットです。

例えば、実店舗による事業をスタートさせた場合、店舗や土地代、人件費、設備費用などの初期投資をしなければなりません。

しかし、越境ECはインターネット上で事業をスタートできるため、実店舗のような多額の初期投資は必要ありません。少ないコストでスタートできることから、仮に期待通りの成果が得られなかったとしても、そのリスクは実店舗に比べれば抑えやすいです。

個人事業主やスタートアップ企業、中小企業にとって、低リスクに事業が始められる点は非常に大きなメリットといえます。

海外は購入頻度も単価も高め

経済産業省が2022年8月に公開した越境EC購入額を確認すると、日本は3,727億円ですが、アメリカは2兆409億円、中国は4兆7,165億円と非常に規模も大きいです。中国と比較した場合、国内と比べ10倍も購入額が違い、消費者にとっての普及度合いも大きく変わってくるでしょう。

また、コロナ禍前には、日本製品を大量購入する外国人観光客がニュースを賑わせたように、海外では一度の購入単価が大きくなりやすいです。信頼性が高い商品であれば、十分に高単価を狙える市場であるといえます。

越境ECで化粧品を販売する際の注意点

越境ECで化粧品を販売する際の注意点

化粧品越境ECに挑戦するうえで、知っておきたい注意点やデメリットがいくつかあります。ここでは、代表的なものを2つ紹介するので、メリットとあわせて参考にしてみてください。

手続きが煩雑になる

化粧品は直接肌につけるものであるため、人体に影響を与える可能性があります。国によっては厳しい規制の対象となっているケースがあります。

そのため、ターゲットとする国の規制や法律について詳しく調べたうえで、販売しなければなりません。

例えば、成分が明記されたラベルを、対象国に合わせて作成し直す必要があるケースもあります。その場合、印刷や再貼付に時間とコストがかかるでしょう。

また、規制や法律などに違反すると、罰金などの重い処罰が下される可能性もあります。展開を検討している国について、日本国内とは異なるルール・法律がないかなど、販売する前に慎重に調査をおこないましょう。

日本と同じ売り方では通用しないことがある

国が変われば美意識や健康志向の方向性も変わります。そのため、市場に展開するうえで、プロモーションの内容も変える必要があるでしょう。また、その国の消費者が注目している化粧品などの市場調査も必要です。

例えば、ある国では肌の色が明るいほうがよいとされていても、別の国では日焼けした肌のほうが健康的でよいと認識されていることがあります。このように、すべての国で同じ販売活動をしても、その国の消費者の注目を集められるとは限りません。

さらに、国の宗教や習慣などの関係から、オーガニック素材以外の購入を控える消費者が多い可能性もあります。また、国際的に注目を集めているSDGsに配慮した宣伝方法も求められるでしょう。

このように、進出する国や地域の文化・習慣なども含めた市場調査をおこなったうえで、それぞれの特徴に合わせた販売活動が必要です。

中国で化粧品の越境ECをする場合の必要要件

中国で化粧品の越境ECをする場合の必要要件

化粧品を越境ECで販売するうえで、特に狙い目の国として中国を紹介しました。しかし、中国で化粧品を販売する場合、知っておきたい要件があります。ここでは、2つの要件について確認していきましょう。

NMPA(国家薬品監督管理局)への登録と届出

NMPA(国家薬品監督管理局)とは、化粧品を含む医薬品の管理をおこなう中国の国家機関です。化粧品販売の越境ECをおこなう場合、NMPAに登録、届出をしなければなりません。一般的な手順は次の通りです。

1.成分チェック
2.中国国内で責任者として認められている企業と委託契約
3.国家薬品監督管理局システムを通して登録
4.委託契約を結んだ中国国内の責任者または企業に申請書類と製品サンプルを発送
5.中国国内にてサンプルの製品検査を実施
6.NMPAによる審査
7.許可が下りれば販売可能

なお、化粧品は「特殊化粧品」と「普通化粧品」の2つに分類されており、普通化粧品の場合は6〜12カ月ほどで手続きが完了します。しかし、日焼け止め・美白・シミ取りなどの「特殊化粧品」の場合は、申請完了まで1年以上かかることがあるので注意してください。

CCC(中国強制認証制度)認証の取得

CCC(中国強制認証制度)とは、中国に輸出しようとする企業に対して、製品の安全性・品質性が確かなものかどうかを政府が審査する制度です。

一般的には精密機器や電気製品を対象とした制度であり、化粧品のみの販売をおこなう場合には対応する必要がありません。しかし、化粧品とあわせて、美顔マッサージ器など美容関連の機器を販売する場合には対応が必要になるでしょう。

なお、初めて申請をおこなう場合は、必要書類を提出してから承認まで半年程度かかります。また、提出書類に漏れなどがあった場合はさらに時間がかかるので注意してください。

アメリカで化粧品の越境ECをする場合の必要要件

アメリカで化粧品の越境ECをする場合の必要要件

アメリカで化粧品の越境ECをおこなう場合には、FDA(米国食品医薬品局)の認可を受けなければなりません。

FDAとは、食品や医薬品などの安全面を確認・保証するために設置された機関であり、化粧品も対象です。2023年より化粧品に関する法律が改正されたため、これまで登録が必要でなかったものも商品情報の登録が必要となりました。製品の成分や製造方法などの提出が必要なため、素早く対応できるように準備しておきましょう。

化粧品の越境ECを成功させるためのポイント

化粧品の越境ECを成功させるためのポイント

化粧品の越境ECを成功させるには、どのような点に注目すればよいのでしょうか。ここでは、特に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

現地に合わせた決済方法を導入する

オンラインショッピングの利用時に消費者が注目する項目として、決済方法があります。特に越境ECの場合、現金購入や代金引換の利用が難しいため、利用者の多い決済方法を選択する重要性は高いです。

日本国内の場合、クレジットカードと並んで電子決済の普及が増加傾向にあります。しかし、世界規模で見た場合、クレジットカードやデビットカードでの決済が多い国もあります。

このように、利用者の多い決済方法は国によって異なっているため、注意が必要です。例えば、中国ではAlipayなどの電子決済が普及しており、積極的に導入したい決済方法といえます。

国・地域によって好まれる決済方法には違いがあるため、現地の状況を調べ、ニーズの高い決済システムを導入することが重要です。

越境EC用の施策を準備しておく

越境ECをおこなうためには、現地での認知度向上を図るためのプロモーション施策も重要です。

例えば、SEO対策をおこなったり、SNS・YouTubeを活用したりといった方法で商品をPRすることで、商品やサービス、企業の認知度向上につながります。越境ECの場合、実店舗を構えるわけではないため、プロモーション方法も限られてきます。

そのため、現地でどのようなプロモーションが効果的か、Web広告の有効な出し方などの事前調査が重要です。

イベント時にキャンペーンを打つ

世界でおこなわれているさまざまなイベントに合わせてキャンペーンをおこなうことも、越境ECを成功させるためのポイントです。

例えば、アメリカの「ブラックフライデー」は日本国内でも認知されており、さまざまな企業がこれに合わせたキャンペーンを打ち出しています。他にも、中国の「春節」や「独身の日」、アメリカの「イースター」など、日本国内での認知度があまり高くないイベントも複数あります。

アメリカ・中国のような狙い目の国におけるイベントを押さえたうえで、それに合わせたキャンペーンを打ち出せば飛躍的な売上向上が見込まれる可能性があるでしょう。

化粧品の越境ECの市場規模は拡大している

化粧品の越境ECの市場規模は拡大している

日本の化粧品は世界中から信頼されており、その注目度も高い特徴があります。そのため、需要の高い国にターゲットを絞り込めば、越境ECの成功確率は高くなるでしょう。

しかし、国によってはさまざまな規制・習慣の違いなどがあるため、市場調査を徹底しておこない、適切なプロモーションをおこなうことが重要です。

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