EC市場動向は?リスクと企業がとるべき対策も解説

2021年8月19日

EC市場のトレンドについてまとめています。現在急成長を遂げているライブコマース、コロナ禍でEC消費が拡大している商品、人気の高い越境ECの消費傾向や越境ECの消費が多い国、ECサイトを運営する場合のリスクや対応策について解説しています。

スマホの普及や、新型コロナウイルス流行などによる自宅時間の増加により、ECサイト市場は活性化しています。売上アップに大きく貢献するECサイトですが、気をつけなければならないリスクもあります。
本記事では現在のEC市場の概要から、今後の動向予測、ECサイトの運営上生じるリスクや対策などについて解説します。

EC市場のトレンド

ECとは「Electronic Commerce」の略称で、「E-Commerce(eコマース)」ともいわれています。これらは電子商取引といわれるインターネットを利用した売買ビジネスです。この電子商取引サービスを行っている販売サイトがECサイトで、一般的には「ネットショップ」と呼ばれます。ECサイトには、主に「モール型ECサイト」と「自社型ECサイト」の2種類があります。モール型ECサイトは、Amazonや楽天などの、多数の企業が出店しているショッピングサイトです。対して自社ECサイトは、個人や企業が自社で作成・運用しているショッピングサイトを指します。幅広い商品がいつでも購入できる楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングといったモール型ECサイトの利用客は年々増加しており、これまで実店舗での販売しか行っていなかった小売事業者も次々とEC市場に参入しています。

食品や生活雑貨、アパレル、書籍、家電、AV機器など、品物の金額、大きさに関係なく、さまざまな商品がECサイトで販売されていますが、近年では自宅時間を楽しむためにゲーム機器や家電、家具といった商品の販売数が増加傾向です。また、店舗での接客販売が主流だったアパレルも、現在ではECでの販売需要が大きく伸びつつあります。

ライブコマース、ライブ配信の急速な成長

EC市場の最新トレンドには、ECにライブ配信を取り入れたライブコマースがあげられます。ライブコマースは、店員やメーカーの社員などがライブ配信で商品を紹介し、そのまま購入できるという販売形態です。

テレビ通販に近いイメージですが、ライブコマースの場合、双方向にコミュニケーションが可能で、顧客からの問い合わせにもリアルタイムで答えられます。
「中がどうなっているのか見たい」、「使い方は?」など一つひとつの質問に対して回答できるので、顧客側は家にいながら実店舗を訪れている感覚で商品を選べます。
販売店側も、従来の写真と説明文のみで商品をすすめなければならないECサイトに比べ、より濃度の高い接客が可能です。

アパレル業界では大手のユニクロとジーユーがライブコマースを導入しました。ユニクロでは「UNIQLO LIVE STATION」、ジーユーでは「GU LIVE STATION」の名称でサービスを開始しています。モデルやファッション誌の編集者、人気ユーチューバーなどを起用した商品紹介の動画がパソコンやスマートフォンから閲覧でき、気に入った商品はECサイトで購入可能です。
インターネット動画広告は視聴時間が長い程、売上につながりやすいといわれています。ライブコマースは参加型の動画広告といえる部分もあり、今後データ容量に制限なく動画を視聴できる5Gが普及するとともに、いくらでも視聴を楽しめる環境でライブコマースもより発展していくと考えられています。

コロナ禍でEC消費が拡大

ネットショッピングは年々増加傾向にあります。とくに2020年以降は、新型コロナウイルスの感染拡大により店舗の時短営業や営業自粛、外出の自粛要請など、店舗に出かけて商品を買う機会が減少したこともあり、ネットショッピングでの支出額が増加しています。
ネットショッピング利用世帯の割合は、2019年には42%程度でしたが、新型コロナウイルスにより初めての緊急事態宣言が発令された2020年4〜5月頃には50%を突破しました。2021年にはさらに増加し、約52%で推移しています。
(参照元URL:http://www.stat.go.jp/data/joukyou/pdf/n_joukyo.pdf)

全世帯の半数以上がネットショッピングを利用しているという状況になり、ネットショッピングの支出額も2020年末頃には過去最大を記録しました。2021年の支出額も毎月前年を大きく上回っています。こうしたEC消費の増加に伴い、現在ではネットショッピングで人気の高い食品や家電をはじめ、幅広い業界で本格的にECに取り組む企業が増えています。

越境ECも活況

新型コロナウイルスの影響はインバウンド消費に大打撃を与えましたが、現在では越境ECによる売上の伸びが海外からの消費を支えています。とくに日本のアニメ、ゲーム、音楽などの趣味やホビー系商品は海外からの需要が多く、注目を集めているジャンルです。趣味系の商品は価格が高額になりやすい傾向もあるため、売上金額の底上げにもつながっています。

また、日本のアパレルブランドも質の高さとデザインの良さから海外で人気です。高級ブランドの洋服、スニーカーなど高品質のものがよく売れているといった特徴がみられます。
これまでも人気が高かった中国からの需要だけでなく、アメリカやヨーロッパからの需要も高くなっているのが近年のトレンドです。

2022年は実店舗回帰も

ワクチンの接種が進み新型コロナウイルスの脅威がなくなったあかつきには、これまでのステイホーム中心だった生活から開放され、消費者が実店舗に訪れることが予想されています。スポーツ観戦や映画鑑賞、コンサート、外食など、外出先でのレジャーやエンタメ消費も多くの人を集める可能性が高いでしょう。

消費者がECから実店舗に戻る消費活動の変化が起きると、ECの利便性や品揃えの良さなどに慣れた消費者からは、実店舗ならではの体験や楽しみ方が求められるようになると予測されます。実店舗に訪れる消費者が楽しいと思える特別感のあるものを準備できると、コロナ禍からの回帰時期に成功を納めるチャンスにつながるでしょう。

ECサイト運営のリスクとは

ECサイトを運営する場合、最も注意しておきたいのが、個人情報の漏洩やクレジットカードの不正利用といったリスクです。個人情報漏洩の原因には、主にヒューマンエラーや不正アクセスがあります。ECサイトではクレジットカード情報や個人情報を入力しなければならず、情報を狙ったサイバー攻撃による不正アクセスを受ける恐れがあるのです。

また、内部スタッフによるヒューマンエラーも、大きな問題を引き起こす恐れがあります。パソコンの操作ミスや、個人情報の入ったパソコンやUSBなどの置き忘れが主なヒューマンエラーで、思いがけないところから個人情報が漏洩してしまうかもしれません。

自社のECサイトが原因で個人情報が外部に漏れた場合、クレジットカードの不正利用などの被害者を出してしまうケースもあります。個人情報漏洩は顧客からの信用をなくし、企業のイメージダウンにもつながる重大な問題なので、情報が漏れないためにしっかりと対策をとっておかなければなりません。

企業がとるべき対策

ECサイト運営時には、個人情報漏洩などのリスクに備えるため万全なセキュリティ対策を行う必要があります。

不正アクセスに対しての対策は、ネットワークへの侵入を防ぐファイアーウォールやサーバーOSなどへの侵入を予防するIPS(Intrusion Prevention System)などを使用することが大切です。そして万が一侵入された場合には、被害が大きくなる前にすばやく検知して対応しなければなりません。

ECサイトで使用しているアプリケーションに脆弱性がある場合には、この脆弱性を狙った悪意ある人物によるサイバー攻撃を受ける恐れがあります。アプリケーションの脆弱性を狙った攻撃には、SQL文を入力してデータベースを操作する「SQLインジェクション」、サイト上で不正にスクリプトを実行してデータを抜き取る「クロスサイト・スクリプティング(XSS)」、ログイン状態を維持した顧客が罠サイトにアクセスした場合にデータを盗まれる「クロスサイト・リクエスト・フォージェリ」などがあり、気づかない間にデータを抜かれてしまうかもしれません。不正なSQL文、スクリプトなどの実行を防ぐプログラムの構築や、WAF(Web Application Firewall)の導入で不正アクセスを防ぐことが可能です。

このように不正アクセスなどによる悪意ある第三者からの攻撃は、セキュリティソフトの導入や、セキュアなECサイトサービスを利用することで防げます。しかし、人為的なミスに関しては、セキュリティソフトでは防ぐことができません。
人為的なミスによる情報漏洩は、実は情報漏洩全体の6割にものぼるといわれています。紛失や誤操作、管理ミスなどが主な原因のため、社員全員が会員情報を閲覧できたりデータの持ち出しができたりする状態を避けることが大切です。担当者だけがデータを開けるようにアクセス制限を設けておく、セキュリティリスクに対する社員教育を行うなどの対策で改善が見込めます。

まとめ

近年のコロナ禍でも大きな成長を続けているECサイトの運営には、さまざまなメリットがあります。国内の需要だけでなく、日本のゲームやアニメなど、外国でも人気の高い趣味のジャンルでは越境ECも活発です。
ECサイトをより活性化させるためにも、その将来性に注目が集まっているライブコマースの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ライブコマース単体だけでなく、ECサイト構築からサポートしてくれるので、これからECサイトを運営しようとしている方にもおすすめです。
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このコラムを書いたライター
HandsUP 運営事務局
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参照

ECのミカタ「“ECとは?“ EC通販ビジネスの基礎とメリットを解説!」
MakeShop「ECとは?業界やメリットから通販サイト運営の基本知識や参考事例まで徹底解説!」
ECのミカタ「今さら聞けないECサイトの基本とは?サイト運営に欠かせない常識集」
HIT-MAIL「2021年のECトレンドを勝手に予測! – 近年の市場動向との比較で見えた傾向とは?」
PRINTFUL「ECのエキスパート7人に聞く!2021年最新ECトレンド」
HIT-MAIL「2021年のECトレンドを勝手に予測! – 近年の市場動向との比較で見えた傾向とは?」
MakeShop「【2021年】更に加速するライブコマースとは?市場動向や事例、アプリを徹底解説」
ネットショップ担当フォーラム「ユニクロとジーユーがライブコマースをスタート、ECサイトとアプリで展開」
シンクアド「5G時代の到来により引き続き成長するインターネット動画広告市場 〜動画制作と利用の民主化〜」
シンクアド「5Gで広がるライブコマースの可能性」
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ネットショップ担当フォーラム「【2021年ECトレンド予測②】石田麻琴さん、川連一豊さん、北山浩さん、小橋重信さん、逸見光次郎さんが見るEC業界」
総務省統計局「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について」
S-cubism「2020年の小売業界振り返りと2021年に予測されるECトレンド7選」
Press Release「2021年上半期 越境ECランキングを 越境EC 流通総額 No.1(※1)のBEENOSが発表」
Press Release「BEENOSが、越境EC 流通総額 No.1を獲得」
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