スポーツマーケティングとは?特徴や成功のポイントを紹介

2024年3月11日

スポーツマーケティングとは、スポーツがもつ魅力や価値を活用したマーケティング手法です。しかし、言葉は聞いたことがあるものの、どのようなものなのかよくわからないという方もいるでしょう。

そこで本記事では、スポーツマーケティングに関する基本的な情報や具体的な事例、成功させるためのポイントを紹介します。

スポーツマーケティングとは?

スポーツマーケティングとは?

スポーツマーケティングとは、スポーツを利用したマーケティングのことであり、大きく2種類に分けられます。

ここでは、それぞれの具体的な内容について解説します。

スポーツ自体のマーケティング

1つは、「スポーツ自体」のマーケティングをおこなうケースです。スポーツリーグや競技大会など、スポーツに関わる企業・団体・興行の収益をあげたり、スポーツそのものの認知拡大のためにおこなわれたりするマーケティング活動を指します。

新規顧客の獲得のほか、既存顧客の熱狂度の向上が狙いのマーケティングです。新規顧客獲得には人気アニメや服飾品ブランドなどとのコラボ、既存顧客の熱狂度の向上ならファン感謝イベントの実施など、その方法は多岐にわたります。

スポーツを活用したマーケティング

スポーツマーケティングには、直接スポーツをマーケティングするのではなく、企業がプロモーション活動にスポーツを取り入れる方法もあります。

プロモーション活動をおこなうことで、企業の認知の拡大や、商品やサービスのブランドイメージをよりよくするなどのメリットがあるのです。例として、プロスポーツのスポンサー契約や大会の主催や協賛を通してのブランディングが挙げられます。

近年では、ドームやスタジアムのネーミングライツ権利を購入し、自社名や商品の名前を組み込むケースも見られ、スポーツと企業の新しいつながりとして注目されています。

スポーツマーケティングならではの特徴

一般的な商品・サービスと違って、スポーツには勝敗があり、その結果がどうなるか事前に予測できません。また、勝敗の結果により、消費者の感情がどうなるのか、世間の雰囲気がどうなるのかも予測が難しいものです。

その不確実性こそがスポーツにおいて大きな感動を生み出す要因ともなるのですが、それはマーケティング担当者が操作できるものではありません。

そのため、スポーツマーケティングでは、消費者の心理に寄り添ったコンテンツを展開することが重要です。スポーツがもつ不確実性をうまく活かしたアプローチや、プロモーションを実施するタイミングなど、満足につながりやすい施策を用いることで消費者の心を掴むよう工夫しましょう。

スポーツマーケティングが広がった背景

スポーツマーケティングが広がった背景

企業がスポーツマーケティングを重視している背景には、スポーツが消費者に感動や憧れを抱かせる共感力の強いコンテンツであるということが挙げられます。

国際的にはロサンゼルスオリンピックをきっかけとして、スポーツの商業化が進み、消費者がスポーツを目にする機会が増えたことで、スポーツマーケティングが広がってきました。

また、スポーツを放送するメディアが増えたことで、一般企業もスポンサーとして参加するようになったこともスポーツマーケティングが広がった背景といえます。さらに、オリンピックや野球以外にも、サッカーやバスケットボールなどでプロリーグが発足し、スポーツを通じたビジネスモデルが確立されていったのです。

スポーツマーケティングは、消費者心理を活用した新たなマーケティング手法として、今日に至るまで重要な役割を担っています。

スポーツマーケティングによる効果

スポーツマーケティングによる効果

スポーツマーケティングには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、スポーツマーケティングに期待できる効果を3つ紹介します。

年齢や性別に関わらず集客できる

スポーツは、老若男女を問わず幅広い層が感動体験を共有できるコンテンツです。企業からすればさまざまなタイプの消費者にアプローチできる絶好の機会といえるでしょう。

国内では、プロ野球をはじめ、JリーグやB.LEAGUEなど、年間を通じてさまざまなスポーツの試合が開催されており、その度に観客の動員やテレビ放映などがおこなわれます。そのため、スポンサーとなるだけでなく、広告を出すだけでも多くの観客や視聴者との接点をもてるのです。

ブランドイメージのアップにつながる

スポーツは、ユーザーと一体感をもって楽しめるコンテンツとして親しまれており、その活動を支えるブランドは非常によい印象をもたれやすいです。プロスポーツクラブの運営やスポンサーなどで、ブランドのプロモーションをおこなうことで、クラブやスポーツ選手へのポジティブな感情をブランドへも向けてもらえます。

また、プロスポーツを支える姿勢や一緒に熱心に取り組む姿勢をみせることで、ブランドの理念や魅力に共感してもらえる可能性もあります。さらに、親和性の高い商品やサービスを取り扱っている場合は、よりユーザーに興味をもってもらいやすくなるでしょう。

海外に向けてアプローチしやすい

スポーツマーケティングでは、海外に対するアプローチも可能であり、日本以外の消費者に対してプロモーションを仕掛けたい場合にも有効です。野球選手やサッカー選手、バスケットボール選手を中心に、国外で活躍する選手は年々増えています。

また、国際大会が開かれるスポーツも多く、国や地域を超えて愛されるコンテンツも多いです。国外クラブに所属している選手はもちろん、国内で活躍する選手でも、国際大会に出場する選手をサポートすることで、海外へのプロモーションにつながります。

もしも、特定の国へのマーケティングをおこないたい場合は、該当する国でどのようなスポーツが主流であるかを把握することは大切です。アメリカではバスケットボールの認知度が高く、欧州ではサッカーのファンが多いなど、国や地域によって異なるため、事前のリサーチが重要となります。

スポーツマーケティングの成功事例

スポーツマーケティングの成功事例

スポーツマーケティングは実際にどのようにおこなわれ、どのような成果をあげているのでしょうか。

ここでは、スポーツマーケティングで成功した2つの事例を紹介します。

B.LEAGUE

B.LEAGUE は、2016年に開幕した日本の男子バスケットボールリーグです。10~30代の若年層をターゲットとし、X(旧Twitter)などのSNSを中心としたマーケティングを展開することで、ファンを増やしてきました。

記念すべき開幕戦では、LEDコートを使用した派手な演出によって話題性を作ったほか、定期的なファン投票でMVPを選出するイベントをおこなったり、インフルエンサーとコラボした動画を配信したりするなど、魅力的なコンテンツを次々と提供しました。興味をもったユーザーがお試しで視聴できる生配信も、新規ファンを獲得に一役買っています。

アダストリア

アダストリアは、茨城県水戸市で創業したアパレル企業で、「GLOBAL WORK」や「niko and…」などのブランドを展開しています。

地元を同じくする茨城県内の各種スポーツチームのスポンサーとなり、ユニフォームのデザインや公式グッズのプロデュースなどを手掛けています。これにより、普段アダストリアが展開しているブランドのターゲットでない層にもアプローチすることができ、新たな顧客層を取り入れることに成功している事例です。

スポーツマーケティングを成功させるためのポイントとは

スポーツマーケティングを成功させるためのポイントとは

スポーツマーケティングを成功させるには、入念に準備をして展開することが大切です。ここでは、スポーツマーケティングで成功するために押さえておきたいポイントを4つ紹介します。

ブランドイメージに合ったコラボ先を選定する

スポーツマーケティングをおこなううえで重要なのが、コラボ先のイメージがそのブランドのイメージと合致するかどうかです。

どんなにそのスポーツやチームの知名度が高くイメージがよかったとしても、ブランドイメージとかけ離れていれば、逆にブランドの信頼を損なうことになりかねません。

例えば、ある化粧品ブランドがスポーツマーケティングをおこなうとします。このブランドが、高級感と自然派のイメージをもっており、主に30代以上の女性をターゲットにしていた場合、サッカーやバスケットボールなどの激しいスポーツは、コラボ先としてあまり適切ではないといえるでしょう。

コラボすることで、どのセグメントの消費者にアプローチできるのか、相乗効果により訴求力をいかに強化できるかということをよく検討したうえで、コラボ先を選定することが大切です。

共感性の高いアプローチをする

スポーツやチームのファンをターゲットとしたマーケティングをおこなう場合は、ファンが共感しやすいコンテンツとなるよう心がけましょう。

例えば、収益の一定割合をチームへ還元することを銘打った商品は、購入したファン自身がチームに貢献できるという意識をもてるため、さらに熱い応援へ結びつくでしょう。

また、選手を身近に感じられる交流会などを開けば、ファンとチームとの結びつきがより強まります。ファンのロイヤリティが高まった結果、チームや大会の収益の増加も見込めるでしょう。

SNSを積極的に活用する

近年では、SNSで情報収集をおこなう人が増えています。

株式会社マクロミルの調査によると、スポーツ関連の情報を得るのにSNSを使う人の割合は55%と半数以上です。手軽に情報を入手できるだけでなく、インフルエンサーの影響で行動に移すというケースも少なくないため、これらをうまく活用することで、消費者に与える影響力を高められるでしょう。

参考:2022年スポーツマーケティング基礎調査 株式会社マクロミル

SNSはその媒体ごとに利用者の年齢層や性別などの属性が異なるため、設定したターゲットに応じて使い分けましょう。

データ収集と分析をする

通常のマーケティングと同様、スポーツマーケティングでも、データ収集や分析は欠かせません。マーケティングで高い成果をあげるには、客観的なデータ分析による戦略立案が大切だからです。

PDCAサイクルを回し、よりファンの心理に寄り添ったコンテンツを展開できれば、エンゲージメントを高められるでしょう。

スポーツマーケティングは感動や憧れを共有する手法

スポーツマーケティングは感動や憧れを共有する手法

今回は、スポーツマーケティングの特徴や成功のためのポイントについて紹介しました。

スポーツは感動や憧れを共有できるコンテンツであり、うまく活用すれば、ブランドのイメージアップや収益拡大につなげられます。

特徴や成功するために大切なポイントを理解し、スポーツマーケティングに取り組んでみてはいかがでしょうか。