越境ECで使える補助金の種類と申請方法|申請前に確認しておくポイントも解説

2024年5月14日

越境EC事業を開始する際、事業が補助金の目的や趣旨に合致していれば補助金の給付を受けられます。

そこで本記事では、越境EC事業の開始にあたって利用できる補助金の種類や申請方法を紹介します。あわせて、補助金申請前に確認しておきたいポイントについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

そもそも補助金とはどのような制度か

そもそも補助金とはどのような制度か

補助金とは、国や地方自治体などの政策目標に沿った形で事業をおこなう事業者の取り組みを支援するために支給されるお金です。補助金の多くは「返済不要の支援金」であるため、スモールビジネス事業者にとって魅力的な制度といえます。

補助金は、中小企業の活性化を目的としていて、国の政策ごとにさまざまな分野で募集されています。補助金ごとの目的や趣旨を把握し、事業とマッチする補助金がないか探してみましょう。

なお、補助金は経費のすべてが支給されるわけではありません。そのため、補助金支給の対象となる経費や補助の割合、上限額などを確認しておくことは大切です。

また、補助金は申請すれば必ず支給されるものではなく、支給されるかどうかや金額については事前審査と事後検査によって決定されます。

越境ECで活用できる補助金4選

越境ECで活用できる補助金4選

中小企業が新たに越境EC事業に取り組む場合、どのような補助金が活用できるのでしょうか。

ここでは、越境ECで活用できる補助金を4つご紹介します。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が生産性向上・売上アップを目的として業務効率化・DXなどに向けたITツールを導入する際にかかる経費の一部を支援するものです。

この補助金は、ソフトウェアだけでなく、オプション(機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ)や役務(導入コンサルティングなどの外部専門家への謝礼・導入設定やマニュアル作成および導入研修・保守サポート)も対象となります。

補助率は1/2以内で、補助額はソフトウェアのプロセス数の要件によって異なります。1プロセス以上なら5万円以上150万円未満の補助金が支給され、4プロセス以上なら150万円以上450万円以下が支給されます。

日本国内で法人登記をおこない、日本国内で事業をおこなう事業者が補助金の対象です。卸売業や小売業などの業種も対象となります。

参考:トップページ | IT導入補助金2024

ものづくり補助金

正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。中小企業などによる生産性向上や持続的な賃上げに役立つ革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセス改善を実施するための設備投資・システム構築を支援する補助金です。電子申請システムのみで受け付けされています。

この補助金を利用する場合、「事業者全体の付加価値額を年平均成長率23%以上増加」などの要件を満たした3年から5年の事業計画を策定していることが基本要件となります。

省力化(オーダーメイド)枠の場合、補助率は中小企業で1/2以下で、小規模事業者で2/3以下となります。補助上限額は750万円から8,000万円(従業員規模によって異なる)です。

補助事業終了後に3年から5年で大幅な賃上げに取り組む事業者には、補助上限額が250万円から2,000万円上乗せされます。

参考:トップページ|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

事業再構築補助金

ポストコロナやウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応することを目的として、新市場進出や事業・業種転換、事業再編、国内回帰などを通じた規模拡大といった事業再構築に挑戦する中小企業などを支援する補助金です。申請は電子申請システムでおこないます。

この補助金の支給を受けるには、「作成した事業計画が認定経営革新等支援機関の確認を受けること」・「補助事業終了後に付加価値額を向上させること」が必須要件です。

「最低賃金枠」や「物価高騰対策・回復再生応援枠」「成長枠」「グリーン成長枠」などの申請枠があり、補助率や補助額、補助上限は申請枠ごとに異なります。

参考:トップページ | 事業再構築補助金

小規模事業者持続化補助金(一般型)

小規模事業者(※)や一定要件を満たす特定非営利活動法人が直面する、働き方改革やインボイス導入といった制度変更などに対応するために、経営計画を作成して地道な販路開拓などの取り組みやそれに伴っておこなう業務効率化の取り組みをおこなう場合にその経費の一部を補助するものです。

それにより、小規模事業者などの生産性の向上や、持続的な発展を図ることを目的に支給されます。この補助金の窓口は、直轄の商工会議所です。

「通常枠」や「賃金引上げ枠」、「卒業枠」などの申請枠があり、補助率や補助上限は申請枠によって異なります。
※業種により定義(常時使用する従業員の数)が異なります。

参考:小規模事業者持続化補助金(一般型)

都道府県ごとに独自の補助金制度もある

補助金には国ではなく地方自治体がおこなっているものもあり、その中には越境ECで利用できるものもあります。例えば、次のような補助金です。

・秋田県:海外展開支援事業費補助金
・埼玉県:海外EC活用支援事業補助金
・滋賀県:海外展開チャレンジ支援事業補助金
・兵庫県:海外展開支援助成金(越境EC) など

企業の所在地がある自治体で、越境ECを開始するにあたって活用できそうな補助金がないか都道府県庁のホームページなどを確認してみましょう。

越境ECに活用できる補助金の申請方法

越境ECに活用できる補助金の申請方法

補助金の支給を受けたい場合、どのように申請すればよいのでしょうか。ここでは、補助金申請の大まかな流れを解説します。

専用サイトや窓口に申請書類を提出する

まず、申請したい補助金の公募要領のうち、公募期間や申請方法、注意事項などを確認しましょう。特に、申請必須要件がある場合には、その部分をよく確認することが大切です。

公募要領を確認したら、必要書類を揃えて事務局に提出します。なお、補助金によって提出方法(電子申請・書面による郵送)が異なるため注意が必要です。中には、電子申請でしか受け付けをしていない補助金もあります。

補助金の申請や活用に関しては、認定支援機関「よろず支援拠点」に相談しましょう。

採択結果が通知される

補助金の申請後、事務局から採択・不採択の結果が通知されます。

補助金が採択された場合には、補助金を受け取るために交付申請という手続きをおこないましょう。それが認められれば、交付決定となります。

補助事業の開始

交付が決定した後は、申請した内容で実際に事業を開始します。もし申請時と事業内容が変わる場合は、事前に所定の手続きをする必要があります。

また、補助金は後払いのため、事業に必要な資金を事前に自己資金や融資などで用意しなければなりません。資金不足にならないよう、早めに資金調達の準備をしておきましょう。

実績の報告をおこなう

実際に補助金の交付を受けるためには、事業実績の報告が必要なため、事業実績報告に必要な書類をまとめて提出します。

補助金の対象となる経費に関する領収書や証拠書類は抜け漏れなく保管し、実施した事業内容や経費を事務局へ報告します。

補助金が交付される

報告書の提出後、所管官庁が書類に不備がないか、また正しく利用されているかなどをチェックし、補助対象経費を確定させたうえで、補助事業の金額を確定するために検査を実施します。

検査によって補助事業の金額が確定した後は、確定した金額に基づいて請求書を提出します。その後、提出された請求書に基づいて、所管官庁から補助金が振り込まれます。

補助金申請前に確認しておきたいポイント

補助金申請前に確認しておきたいポイント

基本的には返済不要なため、政策目標に沿った事業をおこなうのであれば積極的に活用したい補助金ですが、申請前にいくつか知っておきたいポイントがあります。

ここでは、補助金申請前に確認しておきたい4つのポイントについて確認していきましょう。

補助金の交付は事業後になる

もっとも注意したいことが、大半の補助金が「後払い」である点です。そのため、事業の開始時には資金を自社で用意しておく必要があります。

補助金は、交付決定の後に事業をおこない、事業後に事務局へ事業内容の報告をおこなうことで、その費用の一部を受け取れます。そのため、補助金が先に支払われるものだと勘違いしていると、資金が不足してしまいかねません。

そうならないよう、事業開始時には、事業の実施に必要な資金を十分に準備しておきましょう。

自社が申請の要件にあっているか確認する

申請時には、自社が申請対象になっているかの要件を必ずチェックしましょう。「〇〇県に事業所を持つ中小企業」といった要件のほか、「前年の同月より売上が〇%低下している」といった要件が入っている場合もあります。

要件は補助事業によって異なるため、事前にしっかり確認してください。

取り組みが制度の趣旨にあっているか確認する

補助金には、それぞれで補助金制度を設けている目的や趣旨などが設定されています。この趣旨や目的から外れていると、どんなに社会的意義がある事業であったとしても採択が受けられない可能性が高いです。

補助金申請時には、対象となる補助金の趣旨をよく理解したうえで、自社の事業が趣旨に沿っているか確認しましょう。

事業にかかる支出を実施期間内に収めることができるか確認する

補助金の対象事業には実施期間を設定することが一般的ですが、補助金が支給されるのは、その事業の実施期間内に支出した諸経費のみである点にも注意が必要です。

つまり、実施期間が過ぎてから発生した諸経費は、補助金の支給対象ではなくなります。

補助金の交付決定を受けた後に事業の実施期間が定まるため、補助金対象の事業による支出が実施期間の前後に発生しないよう注意が必要です。

補助金を活用して越境ECに挑戦しよう

補助金を活用して越境ECに挑戦しよう

補助金の多くは返済する必要がない支援金です。自社の事業とマッチする補助金があれば、活用してみましょう。

ただし、補助金は誰でも支給を受けられるものではなく、申請や審査が必要です。一定の資格が必要な場合もあります。それだけでなく、採択件数や金額があらかじめ決まっていることも多いため、応募件数が多ければ審査に落ちる可能性があることにも留意ください。

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