越境ECにデメリットはある?越境ECが拡大している理由から始めるメリットも解説
越境EC市場は急速に拡大しており、多くの日本企業がこの分野に参入しています。
越境ECには、新たな顧客層を獲得したり、海外に日本の商品をアピールできたりするなど、多くのメリットがあります。しかし、言語の翻訳や配送コストといったデメリットがあるのも事実です。
そこで本記事では、越境ECのメリットだけでなく、どのようなデメリットがあるのかについても詳しく解説していきます。
越境ECの市場規模
越境EC市場は、2020年の新型コロナウイルスの世界的な流行により急速に拡大しました。その後も市場規模は拡大を続けています。
経済産業省の「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2021年の世界の越境EC市場規模は7,850億USドルでしたが、2030年には7兆9,380億USドルに達すると予測されています。
越境EC市場で最大のシェアを持つのは中国で約50%を占め、次にアメリカが約18%です。これら2カ国を合わせると市場全体の約7割を占めます。さらに、どちらの国も日本との取引が多く、日本の商品に対する需要が高いことがわかります。
越境ECの市場規模の詳細については以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
越境ECが拡大している理由とは
越境EC市場は、なぜ拡大を続けているのでしょうか。ここでは、越境ECが拡大している4つの理由を解説します。
インターネットやスマートフォンが普及した
越境ECが拡大している理由の一つとして、インターネットやスマートフォンの普及により、海外の商品を簡単に購入できるようになったことが挙げられます。スマートフォンを利用することで、場所や時間を気にせず、誰でも気軽に海外の商品を手に入れられるようになりました。
さらに、SNSの発達により海外の商品を見る機会が増え、興味や関心を持つ人も増加しています。
今後、さらに多くの国や地域でインターネット環境の整備やスマートフォンの普及が進むことで、越境ECの市場規模はますます拡大するでしょう。
旅行客が帰国後にリピート購入した
訪日観光客が日本の商品を気に入り、帰国後に越境ECサイトで再購入するケースも越境ECが拡大している理由として考えられます。外国人にとって日本の商品は高品質で高性能と評価されており、友人や知人に紹介することで口コミが広がることも少なくありません。
現在、インバウンド需要と越境ECは切っても切れない関係にあり、新たなビジネス戦略として越境EC市場に参入する企業が増加しています。
EC出店によるコストの削減
海外市場に進出する方法として、コストの低い越境ECを選ぶ企業が増えていることも理由の一つです。
現地に実店舗を設立する方法もありますが、この方法には多大な費用と労力がかかります。現地の視察やスタッフの準備など、慣れない環境での作業は予想以上に困難であり、失敗した場合のリスクも非常に大きいです。
しかし、越境ECを利用すれば、すべての手続きをオンラインで完結でき、コストや労力を大幅に削減できます。近年では、越境ECサイトを制作するためのサービスも充実しており、これにより海外進出のハードルが低くなっていることが、越境ECの拡大につながっています。
新規商圏の拡大
日本では少子高齢化に伴う人口減少が進んでいるため、新たな商圏として海外市場が注目されています。アメリカや中国の市場規模は日本を遥かに上回り、非常に大きなものとなっています。また、日本の商品がまだ知られていない国や地域も多く、ビジネスチャンスは豊富です。
こうしたことから、ターゲット市場を明確にし、潜在的なニーズを引き出すことで、越境ECを活用した新たな販路の開拓が可能となるでしょう。
越境ECを始める4つのメリット
越境ECに参入することには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、越境ECを進めることで得られる4つのメリットを紹介します。
海外への販路拡大になる
越境ECの大きなメリットは、海外の顧客をターゲットにできることです。海外市場に目を向けることで、顧客の総数を増やし、売上の向上につなげることができます。
特にニッチな分野でビジネスを展開している場合、中国やインドなど人口が多い国をターゲットにすることで、顧客の増加が期待できるでしょう。
特に中国は日本の隣国であり、多くの中国人が日本を訪れています。彼らが日本の商品を気に入れば、帰国後でも購入できる環境を整えることで、リピーターを獲得するチャンスになるでしょう。
競合が少ない場所でビジネスができる
日本国内では多くの競合他社が存在する分野でも、海外市場では競合が少ないことがあります。日本市場が飽和状態で競争が厳しいと感じる場合、競合の少ない海外市場に進出することが効果的です。
既存の顧客を他社から奪うためには、製品の質を向上させたり、価格を引き下げたりする必要があります。しかし、新たに顧客を獲得する場合は、ターゲット市場のニーズに合った製品を提供することで競争力を高めることができます。国や文化によってニーズも異なるため、他社との差別化が容易になるでしょう。
日本の商品を海外に販売できる
日本の高品質な商品や独自の文化は、海外で非常に高い関心を集めています。特に、中国を含むアジア圏では、日本の高品質な化粧品や電化製品が非常に人気です。一方、欧米では日本の甲冑やアニメといった独自の文化が人気を博しています。
このように、日本の強みを活かした商品を海外市場に提供することは、越境ECの大きなメリットです。しかし、国ごとに日本製品に対するニーズは異なるため、ターゲット市場の選定は慎重におこなう必要があります。ターゲットのニーズと自社製品が合致する国を選ぶことが重要です。
実店舗より簡単に出店できる
上でも解説したとおり、現地に実店舗を出店するには多額の費用がかかりますが、越境ECを利用すればコストと手間を大幅に削減できます。
実店舗を出すには、現地の視察やスタッフの採用・教育など、多くの課題をクリアしなければいけません。
一方で、越境ECならば、Webサイトを立ち上げるだけで簡単に出店が可能です。もちろん、運営スタッフの確保や商品の保管・配送といった業務は発生しますが、実店舗を出すよりも初期費用やランニングコストを大幅に抑えることができるでしょう。
越境ECを始める3つのデメリット
越境ECを進めることにはメリットもありますが、いくつか事前に知っておきたいデメリットもあります。ここでは、3つのデメリットについて、解説していきます。
配送にコストがかかる
越境ECで商品を購入した場合、日本から海外へ商品を発送することになるため、配送料や関税が高くなることがあります。もし海外に自社倉庫があるなら問題ありませんが、日本国内から発送する場合、商品代金以外の費用についても考慮しなければいけません。
配送料や関税を誰が負担するかによって、商品の売れ行きは大きく変わります。これらの費用を自社で負担するか、それとも顧客に負担してもらうかを検討しましょう。また、発送先の物流インフラがどの程度整っているかも調査が必要です。
さらに、万が一商品が届かない場合にはトラブルになる可能性があるため、確実な配送ルートを確保することも重要です。
言語の翻訳が必要
越境ECサイトを運営する際、海外のユーザー向けに英語や中国語などに翻訳する必要があります。基本的にはターゲットとする国の言語に翻訳されていれば問題ありません。多言語翻訳ツールを利用するのもおすすめです。
ただし、翻訳ツールを利用した文章は直訳になったり、不自然な表現になったりすることがあります。より高品質な多言語サイトを構築したい場合は、翻訳専門業者に依頼するか、現地の言語に精通したスタッフに翻訳してもらうとよいでしょう。
決済方法が国内よりも複雑
国ごとにオンライン決済の方法が異なるため、さまざまな支払い方法に対応することが重要です。例えば、中国では「支付宝」や「微信支付」が主流ですが、アメリカではクレジットカードでの支払いが主流となっています。
このように、国ごとに主要な支払い方法は異なるため、複数の支払い手段を用意しておくことが重要です。しかし、銀行口座が普及していない国や、Web決済が一般的でない国も存在します。ターゲットとする国でよく利用されている決済システムを事前に調査し、準備を進めるようにしましょう。
越境ECを構築する方法
越境ECに参入するには、サイトの構築が欠かせません。ここでは、どのような手順でサイトを構築すればよいかを解説していきます。
ターゲットを決定する
まず、自社の商品を販売する国を決めることが重要です。ターゲットが明確でなければ、効果的なマーケティング戦略やアプローチ方法を考えることはできません。
次に、販売する商品の需要がある年代や性別、トレンドなどを調査し、最も需要が高い国をターゲットに選びましょう。
ターゲット国が決まったら、その国の市場動向をさらに詳しく調べ、適切なマーケティング戦略を立てます。例えば、SNSで広告掲載をおこなう場合、ターゲット層が利用しているプラットフォームを特定することが重要です。
また、ECサイトのデザインはブランドのイメージに合致させ、ユーザーが利用しやすく、購入意欲を高めるように工夫しましょう。
商品を準備する
ターゲットが決まったら、越境ECに適した商品を準備しましょう。国ごとに関税や輸入規制が異なるため、販売したい商品が越境ECに適しているかどうかを確認することも重要です。
特に関税については商品の価格に大きな影響を与えるため、利益を損なわないよう慎重に検討する必要があります。また、複数の国に向けて販売する場合、国ごとに異なる関税率を考慮することも大切です。
さらに、販売する国のトレンドに合わせて商品デザインを変更したり、新しい商品を開発したりするなどの工夫も凝らすとよいでしょう。
出店する方法を選ぶ
販売する国と商品が決まったら、越境ECの出店方法を選びましょう。越境ECの出店方法は、大きく分けて2つあります。
一つ目は、自社で越境ECサイトを制作する方法です。国内の越境ECサイト構築パッケージや支援サービスを利用すれば、初心者でも比較的簡単に越境ECサイトを立ち上げることができます。
2つ目は、現地のECモールに出店する方法です。言語の翻訳やシステム対応に手間がかかりますが、現地のユーザーに見てもらえる確率が高くなります。
越境ECサイトの構築には手間がかかるため、まず自社が越境ECで達成したい目標を明確にし、それに基づいて出店方法を検討することをおすすめします。
越境ECのメリット・デメリットを把握して出店しよう
越境ECは今後も大きな成長が期待される分野です。早期に越境ECに参入することで、新しい顧客を獲得し、売上を増加させることができるでしょう。
しかし、海外展開には言語の壁や決済方法の整備など、多くの課題があります。
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