越境EC市場で活躍する企業を一覧で紹介!越境ECのメリットや成功のポイントも解説
越境ECとは、国際的な電子商取引を指す言葉で、数多くの日本企業も参入しています。日本企業の強みを生かすことができれば、事業の発展につなげられるでしょう。
そこで、「越境ECで成功するためにはどうすればよいかわからない」「実際に成功している企業について知りたい」という方に、越境ECで活躍する日本企業を紹介します。また、越境ECにおける日本企業の強みについても解説するので、これから越境ECに挑戦したい方はぜひ参考にしてください。
越境ECとは?
越境ECには、主に2つの形態があります。ひとつは、海外のECサイトで商品を購入し、国内へ取り寄せる形式です。例えば、中国やアメリカのECプラットフォームで人気の商品を日本の消費者が購入する場合などがこれに当たります。もうひとつは、国内のECサイトが海外の顧客向けに商品を販売する形式です。
越境EC市場は急速に拡大しており、2021年の市場規模は7,850億USドルでしたが、2030年には7兆9,380億USドルにまで成長すると予測されています。この急激な成長は、インターネットの普及やスマートフォンの利用の増加、サプライチェーンの改善など、さまざまな要因によるものです。
新興国の中流階級の拡大や、デジタル決済の普及、国際物流の改善によって、将来的にも越境EC市場はさらなる成長が見込まれるでしょう。
越境EC市場で活躍する企業一覧
越境EC市場で活躍する企業を5社紹介します。
・トラスト企画
・DCTエンタープライズ
・ファーストリテイリング
・多慶屋
・SAMURAI STORE
会社ごとの成功事例も紹介しますので、参考にしてみてください。
トラスト企画
トラスト企画は、ニッサン・スカイラインGT-R向けに特化した車両向けパーツを販売している企業です。アメリカやオーストラリアの熱心な顧客を中心に、2014年よりeBayで越境ECをおこなっています。
民間配送会社を活用して迅速な宅配サービスを提供することや、顧客に商品の細かい仕様を正確に伝えることを重要視しているため、マニア層向けの商品でも安心して購入できる環境を提供しています。
成功の鍵は、海外では希少な商品に目を付けたことです。徹底した市場調査と顧客ニーズの把握に努め、現地の需要に合致した商品を提供しています。
DCTエンタープライズ
DCTエンタープライズは、世界的な有名ブランドの中古品を越境ECで販売している企業です。日本特有の古物商制度により、日本の中古品は品質が高いことから海外からの需要が高まっています。
DCTはこの需要に応えるために、丁寧な梱包や細かい配慮をおこない、日本特有のきめ細かいサービスで顧客からの信頼を得てきました。
また、アメリカの消費者は配達スピードの速さや配送プロセスの容易さを求める傾向があります。そのため、DCTはEMSやFedExなどを活用し、迅速な配送サービスを提供し、配達スピードと配送プロセスの効率性を向上させています。
ファーストリテイリング
ユニクロやジーユーを運営するファーストリテイリングは、自社ECで越境ECを展開し、コストを抑えつつグローバル市場に進出しています。21の国と地域でECを展開しており、2021年8月期には、海外EC部門は前年比20%の成長を実現しました。
また、ファーストリテイリングは現地の実店舗との連携を生かし、オンラインとオフラインの相乗効果を狙っています。店舗での試着や商品の受け取り、返品など、ECサイトでは対応できない部分を実店舗でおこなう環境を構築しています。
海外での出店が多いユニクロであるからこそ、実店舗との連携をおこなうのは非常に効果的で、海外ユニクロの売上は2023年時点で全体の6割にもなっているのです。
多慶屋
多慶屋は、東京・御徒町に店舗を構えるディスカウントストアです。訪日外国人客を対象に、帰国後のリピート購入を促すサービスを展開しています。
具体的には、店舗での免税手続きの際に、購入者にQRコードが付いたチラシを配布し、帰国後にオンラインで再度購入できるよう導線作りをしています。
また、多慶屋は海外向け転送サービスの代理購入サービスと提携し、海外展開もおこなっています。日本国内での購入から海外への商品配送まで対応しているため、海外の顧客にとっては知らない店舗よりも一度購入している店舗となり安心感を与えられている事例です。
SAMURAI STORE
SAMURAI STOREは、創業当初は海外のコレクター向けに日本の玩具を販売していました。その後、海外富裕層をターゲットに、鹿児島の甲冑工房と提携し、鎧(よろい)の販売を始めています。
さらに、横浜に実店舗をオープンし、ECと実店舗の両方でインバウンド向け商品を展開し、訪日外国人客に対する顧客層の拡大と売上の増加を実現しました。
2018年には、直営店舗を持たずに外商ベースで事業を展開するために株式会社を設立しています。海外の顧客層の拡大や売上の増加に加えて、直営店舗を持たずに事業を展開することで効率的な経営を実現し、事業の持続的な成長を実現しています。
越境ECのメリットとは
越境ECには、国内のEC展開では得られないメリットがあります。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。
海外市場への販路拡大になる
越境ECの大きなメリットは、国境を越えて世界中の市場で商品を販売できることです。特にアメリカ、東南アジア、中国などの、EC市場が急成長している国々のユーザーにアプローチできることで、海外市場での販売機会が拡大するでしょう。
また、海外市場への販路拡大によって新たな顧客層にアプローチできるため、認知度や知名度の向上も期待できます。さらに、国内市場の競争が激しくなった場合でも、海外市場での成長によりリスク分散が可能です。加えて、販売先を分散できるため、地域に特化した景気変動のリスクも軽減できます。
このように、越境ECを通じて世界中の市場に商品を提供することで、ブランドの知名度や認知度の向上にもつながるでしょう。国際的なブランドとしての地位を確立し、競合他社との差別化を図れます。
日本独自の文化は需要が高い
日本の伝統的な文化やアート、ファッション、テクノロジーなどは、世界中で愛されています。特に、日本のポップカルチャーや和の雰囲気、伝統工芸品、アニメ、マンガなどは、海外のユーザーから大きな注目を集めてきました。
このような製品を日本企業が直接販売することで、海外ユーザーの信頼を獲得できます。海外市場では偽造品や模倣品が出回っており、本物の品質と信頼性を求めている方も多いです。
また、日本の製品や文化に興味を持っているにもかかわらず、来日する機会がない人々に対しても販売できます。特に、世界中のファンや愛好家にとって、越境ECを通じて日本の魅力に触れられるため、需要はますます高まるでしょう。
低いコストで出店できる
従来の海外進出では、現地に実店舗を設置するために多大なコストが掛かっていました。しかし、越境ECを活用することで、実店舗を持たずに比較的低いコストで海外市場への展開が可能となります。越境ECでは、物理的な店舗を持つ必要がなく、店舗運営に伴う賃貸料や人件費、装飾費などのコストを節約できます。
また、越境ECを活用することで、日本国内に拠点を持ちつつも、世界中の顧客に商品を販売する体勢を整えられるでしょう。日本国内での販売に加えて、海外市場でも商品を販売でき、売上の多角化と拡大が可能になります。
海外市場への展開に際して大きなリスクを伴わずに、国境を越えた販売活動をおこなえるため、グローバル展開を目指す企業にとって魅力的なメリットです。
越境ECを成功させるための4つのポイント
越境ECを成功させるためのポイントとして、次の4つが挙げられます。
・ターゲットに適した決済方法を導入する
・販売可能な商品か確認しておく
・販売国のイベントを把握しておく
・適切な広告やSEO対策をおこなう
それぞれのポイントを解説します。
ターゲットに適した決済方法を導入する
国によって多く使用されている決済手段は異なるため、販売ターゲットに合わせた決済方法を提供することが必要です。例えば、欧米系の消費者はPayPalやクレジットカードを好む傾向があります。
一方で、中国の消費者にはAlipayやWeChat Payが一般的です。その他の地域には、地域特有の決済手段が存在する場合もあるでしょう。ターゲットに適した決済方法を提供することで、消費者の利便性を高め、購買意欲を促進できます。
ECサイトのプラットフォームを選定する際にも、対応している決済方法の確認が重要です。選択したプラットフォームが希望の決済手段に対応しているかどうかによって、顧客に提供できる決済オプションが制限される場合があるため注意しましょう。
販売可能な商品か確認しておく
各国には販売が規制されている商品があり、特に食品や化粧品などは国ごとの制限が多い傾向にあります。したがって、事前に各国の法律や規制を確認し、販売可能な商品の範囲を把握することが重要です。
また、特定の商品を販売するためには許可が必要な場合もあります。例えば、医薬品や健康補助食品などの一部の商品だと、販売するには許可が必要です。これらの商品を販売する際には、関連する規制やライセンスの取得が必要となります。
さらに、法律や規制が頻繁に変更される国もあるため注意が必要です。越境ECをおこなう企業は常に最新の情報を把握し、アップデートしなければなりません。法的なリスクを最小限に抑え、スムーズな販売活動をおこなう必要があるでしょう。
販売国のイベントを把握しておく
販売国のイベントを把握することで、セールなどの販促活動を適切なタイミングでおこなえます。例えば、ブラックフライデーや春節などの大規模なセールにつながるイベントは必ず抑えておきましょう。
他にも、中国では11月11日の独身の日は大規模なセールがおこなわれます。この日には、中国のECモールが活発に動き、多くの消費者が商品を購入するため、積極的なプロモーションが大切です。
また、競合他社も同様にイベントを活用して販売促進をおこなう可能性があるため、競合状況も把握しておく必要があります。
適切な広告やSEO対策をおこなう
ECサイトの効果を最大化させるために、Web広告やSEO対策も適切におこないましょう。SEO対策では、販売国の言語や文化に合ったキーワードを選定し、コンテンツを最適化しなければなりません。また、リンク構造やサイト速度の向上などの技術的な面も考慮する必要があります。
これらの対策をおこなうには、現地の広告に詳しい代理店や専門家と連携することが効果的です。現地の文化や消費者のニーズに合った広告戦略を立てることは、越境ECで成功するために大切なことです。代理店や専門家はその国のマーケットに精通しており、効果的な広告キャンペーンを立案して実行してくれるでしょう。
広告やSEO対策を適切におこなうことで、販売国の消費者に効果的にアプローチし、越境ECでの売上を増加させられます。
越境EC市場で活躍する日本企業は多く存在する
越境EC市場は急速に拡大しており、2019年の市場規模は7,800億USドルでしたが、2026年には4兆8,200億USドルにまで成長すると予測されています。
越境ECをおこなうことで、海外市場の販路拡大や低コストでの出店が可能となります。また、日本独自の文化は海外からの需要が高いことも越境ECをおこなうメリットのひとつです。
17LIVE株式会社ではライブ・ソーシャルコマースの支援をおこなっています。直接契約を結んだKOLに依頼をしてライブ配信で商品を紹介して貰えることも支援内容のひとつです。越境ECへの取り組みを考えている方は、ぜひ導入を検討してみてください。