Z世代マーケティングとは?成功ポイントや事例について紹介
「Z世代」とは、1990年代後期から2000年代序盤までに生まれた若い世代のことです。
現在、世界人口の約3分の1を占めるといわれており、マーケティングにおけるボリュームゾーンとしても注目されています。
しかし、「Z世代マーケティングが難しい」「Z世代の心を掴めない」とお悩みのマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、Z世代の特徴やZ世代マーケティングが必要な理由に加え、Z世代マーケティングを成功させるためのポイントを解説します。また、Z世代マーケティングの成功事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Z世代とは?
Z世代とは、「1990年代後期から2000年代序盤までに生まれた世代」を指します。言葉のルーツはアメリカで、「GenerationZ」と呼ばれており、近年になって日本でも「Z世代」という呼び方が定着しました。
少子高齢化の進む日本では、Z世代人口は他の世代よりも少ないものの、アメリカなどの海外では人口のボリュームが大きく、次の消費の主役を担うとされています。そのため、マーケティング対象としても注目を集めている世代です。
この世代は「真のデジタルネイティブ」ともいわれ、インターネットを利用した情報収集力に長けています。
とくに得意なのが、SNSを活用した情報収集です。さまざまな用途に合わせてSNSを使い分け、効率よく情報を集めながら必要に応じて情報の取捨選択をしています。
Z世代の特徴や価値観とは?
さまざまな社会的問題と停滞した経済による影響を受けて育ったZ世代は、個性的な特徴や独特の価値観を持っています。
ここでは、Z世代の具体的な特徴や個性的な価値観について紹介します。
デジタルネイティブである
Z世代は、生まれたときからインターネットが身近にある環境で育ってきた「デジタルネイティブ」世代です。
子どもの頃からタブレットやスマートフォンといったデジタルデバイスに慣れ親しんでおり、場所を選ばないライフラインとしてインターネットを利用することが生活の中に定着しています。
そのため、デジタル技術を使いこなしており、情報収集や情報交換だけでなく、学習や買い物などあらゆる行動にインターネットを活用していることが特徴の一つです。
複数のSNSアカウントやインターネットメディアを使っている
Z世代は、複数のSNSアカウントを器用に使いこなすことも得意です。LINEやX(旧Twitter)、InstagramなどのSNSを通じて積極的に相手とコミュニケーションを取ることを好み、リアルタイムなコミュニケーションを重視する傾向にあります。
株式会社ネオマーケティングがZ世代を対象として行った調査によると、普段チェックする情報源はSNS(YouTubeなど動画共有サイト含む)と回答した割合が79.8%と突出していることが明らかとなりました。
参考:全国のZ世代の高校生・大学生・社会人の男女6953人に聞いた「もっと知りたい、Z世代。 ~情報・人との接し方とは~」|株式会社ネオマーケティング
Z世代とSNSは、切っても切れない関係にあるといえるでしょう。
誰もがインフルエンサーになり得る可能性がある
幼少期より生活の中にSNSがあり、慣れ親しんできたZ世代は、SNSを通して不特定多数に情報を発信することに抵抗が少ない傾向にあるといえます。そのため、SNSで自分の意見や身近に起きた出来事を発信することにも長けています。
また、他者と共感することを重視する傾向もあるため、自身の経験や強く影響を受けたコンテンツなどを共有することも好みます。
このように、発信力と共感力が強いZ世代は、誰もがインフルエンサーになり得る素質があるといえるでしょう。
堅実な金銭感覚がある
Z世代はバブル崩壊後の不況時代に生まれ、リーマンショックの中で育つという不安定な社会の中で育ってきたため、堅実な金銭感覚を持っています。消費に対して保守的な姿勢が多くみられ、経済や自分の将来をシビアにとらえていることから、節約や貯蓄に高い関心を示す傾向が強いことも特徴です。
インターネットを駆使した高い情報収集力で商品を少しでも安く購入できるショップを探すなど、コストパフォーマンスを重視する傾向も強いといえるでしょう。
その一方で、自身が価値を感じられる体験やサービスには採算度外視で、思い切った消費活動を行うといった側面もみられます。
Z世代マーケティングが必要な理由とは
Z世代マーケティングが重要だといわれている理由とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?ここでは、Z世代マーケティングが必要な理由を紹介します。
これからの消費を担う世代に該当するため
日本では総人口に占めるZ世代の割合は低いものの、世界規模でみるとZ世代は高い人口比率を占めています。そのため、グローバルな視点で考えるとZ世代は今後重要な消費者層といえるのです。
日本においても、現時点では人口ボリュームが多い65歳以上のシニア層がこの先消費力を失っていく一方で、Z世代は新しく労働市場に参入し、活発な消費が期待できる世代といえます。
今後経済活動の中心的ポジションを担うであろうZ世代は、国内外を問わず市場を支えていくため、Z世代マーケティングが重要といわれているのです。
デジタルネイティブとしての情報拡散力がある
Z世代は、商品購入や動画視聴、情報収集などでSNSを日常的に利用しています。利用目的の中でも他の世代と比較して特徴的といえるのが、積極的な情報発信です。
幼少期より情報発信ツールとしてSNSが身近にあったことから、Z世代はSNSを通じて自分の意見を発信したり情報を拡散したりすることに抵抗がない傾向にあります。X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどでの情報発信は、国内だけでなく世界中に影響を及ぼすケースもみられます。
Z世代には発信力や情報拡散力に優れたインフルエンサーも多く、その影響力に対するマーケティングの注目度が高まっています。
オンライン以外の体験ニーズを満たす必要があるため
デジタルネイティブな側面を持つZ世代は、オンラインによるやり取りに慣れている一方で、リアルな体験を求める傾向にもあります。
近年では、その瞬間にしか味わえない「非再現性」のある体験に参加したり、商品やサービスの社会的・文化的な意味を重視する「貢献性」のある体験に参加したりすることに価値を感じる傾向にあります。
そのため、オンラインでは体験できないリアルな体験を求めるZ世代のニーズを満たすためのマーケティングも重要と考えられているのです。
Z世代マーケティングを成功させるためのポイント4選
Z世代マーケティングでは、Z世代の特徴や価値観を把握したうえで、施策を行うことが大切です。
ここでは、Z世代マーケティングを成功させるために注意すべき4つのポイントを紹介します。
共感を得やすい商品や広告を制作する
Z世代は、他者と共感したい気持ちが強いため、商品や広告をSNSでシェアしたいと思ってもらえるかどうかを意識することが大切です。そのためには、感情を揺さぶられたり、強く心を動かされたりするような体験をしてもらうことが重要となります。
Z世代の感情を刺激できれば、他者にシェアしたい気持ちが高まり、SNSに投稿、拡散してもらいやすくなります。心を揺さぶれるような体験や表現であるほど、高い宣伝効果が期待できるでしょう。
情報の透明性を高める
SNSやインターネットが発達していなかった頃は、企業やマスメディアが発信するものが情報のすべてでした。
しかし、誰もが発信できる現代では、意図的に隠されてきた情報がSNSなどを通じて発覚する機会も多くあります。そのため、幼い頃からインターネットに触れてきたZ世代は企業が発信する情報だけを鵜呑みにせず、複数の情報源から情報を集めたうえで本当に正しい情報なのかを総合的に判断します。
Z世代に信頼されるためには、商品やサービスのよい部分だけでなく悪い部分も偽りなく公表したり、実際に購入した消費者の口コミを公開したりして、情報の透明性を高めることが大切です。
インフルエンサーマーケティングを進める
SNSの影響を受けやすいZ世代には、インフルエンサーマーケティングも効果的です。Z世代は、インフルエンサーの投稿をきっかけに商品を購入することも多いため、インフルエンサーマーケティングはZ世代マーケティングとの親和性が高いといえるでしょう。
とはいえ、人気のインフルエンサーを起用するだけでは不十分です。より効果を高めるためには、Z世代に共感してもらいやすく、わかりやすい商品説明ができる人物でなければなりません。
また、より共感を得るために、商品を使用している様子や実体験を伝えてもらうこともポイントになります。
体験型のイベントを主催する
Z世代の体験欲求を満たす体験型イベントの実施も効果的です。Z世代は、記憶に残る特別なリアル体験を求めているからです。
イベントに参加し、「特別な経験をした」「楽しい時間だった」と思ってもらえれば、その体験をSNSで共有してくれるでしょう。情報が拡散されれば、イベントに参加できなかった人たちにも自社や自社サービスの認知を広げることが期待できます。
Z世代マーケティングの成功事例とは
ターゲットとなるZ世代の特徴や価値観、体験ニーズを押さえることがZ世代マーケティングを成功させるポイントです。ここでは、Z世代マーケティングの成功事例を4つご紹介します。
株式会社資生堂
Z世代の男性特有の肌悩みに着目した新スキンケアブランド「SIDEKICK(サイドキック)」を展開する資生堂は、Z世代男性の美意識や関心が高い中国のスキンケアカテゴリーに参入しました。
何より「個性を出す」ことを重視するZ世代に対して気を配るのは、ブランドの世界観です。ブランド側の価値観を押し付ける発信を控え、Z世代にインスピレーションを与えられるデザインや発信を意識。他社では見たことがないような「かっこよさ」や「インパクト」にこだわったデザインがZ世代の志向にマッチしています。
将来的にはアジアにおいて、Z世代に支持される男性用化粧品のNo.1ブランドになることを目標にしています。現在は、男性の美容市場が広がっている中国市場で展開しており、計画通り販促が進められています。
Z世代の購買意欲や核心を突き詰めたブランド戦略の好事例です。
株式会社アルテゴ
株式会社アルテゴが運営する「BEAGL&BEAGL(ベーグルアンドベーグル)」は、素材へのこだわりと豊富なバリエーションが特徴のベーグルショップです。
購買層をZ世代にも広げるため、Instagramの総フォロワー数が70万人を超える女性向けSNSメディア「Sucle(シュクレ)」とコラボし、オリジナルフルーツベーグルサンドを期間限定で販売しました。
多くのフォロワーを抱えるSNSメディアによる拡散で、これまでアルテゴの購買層にはあまりいなかったZ世代への認知に成功し、限定体験を好むZ世代の注目も集められた事例です。
見た目にもこだわったオリジナルベーグルフルーツサンドと一緒にグッズを提供することで、SNS投稿を促すイベントにもなりました。
株式会社湖池屋
創業以来、スナック菓子の市場で挑戦を続けてきた株式会社湖池屋。新たに顧客との接点を創出すべく、Z世代をターゲットとした商品の開発と情報発信を展開しています。
2023年1月、期間限定にてLINE上で遊べるオリジナルシミュレーションゲーム「湖池屋FARM大豊作!」をリリース。ゲームには湖池屋の人気商品のキャラクターを登場させるなど、ブランドの世界観を反映させながら、Z世代の新たなファン獲得を狙いました。
その結果、LINE公式アカウントの友だち登録者数は30%増加、ECサイトの集客数に目標直に達し、成功を収めています。
大塚製薬株式会社
大塚製薬の看板商品として、発売以来40年にわたるロングセラー商品となっているカロリーメイト。どの世代からも愛される存在として、これまで数々のCMを制作してきましたが、同社が消費者とのコミュニケーションを図るうえで最も大切にしているのは、共感です。
とくにカロリーメイトの疾走感あふれる部活モチベーションムービー「夏が始まる」編は、TikTokで公開されたあと大きな話題になりました。
コロナ禍でインターハイが中止になるなどして、悔しい思いをしたZ世代の気持ちに寄り添った熱量のあるアニメーションと楽曲により、Z世代から大きな共感を得ることに成功した事例です。
Z世代マーケティングを成功させるために特徴を知ろう
Z世代は、幼少期からインターネットやデジタルデバイスが身近にあり、情報収集力が高い世代です。長引く不況の中で過ごしてきたため節約志向が強い一方、体験型消費を好む傾向にあります。
今後の消費を担うZ世代をターゲットにしたマーケティングは、SNSの活用と共感、体験ニーズを考慮した戦略を立てて行うことが大切です。
本記事で紹介した成功事例も参考に、ぜひZ世代マーケティングに取り組んでみてください。