アパレル・ファッション業界におけるライブコマースの事例とは?導入するメリットも紹介
ライブコマースでは、場所を問わずに配信者と視聴者が同じ空間にいるような雰囲気を味わえます。そのため、画面越しでも商品の特徴などが視聴者に伝わりやすい点において、アパレルやファッション業界との親和性が高いといわれています。こうした背景から、近年ライブコマースを活用したアパレル商品の販売が広がっているのです。
そこで本記事では、ライブコマースをファッションやアパレル業界で導入するメリットやデメリット、成功事例を紹介します。
アパレル・ファッション業界におけるライブコマースとは?
ライブコマースは、ライブ配信で商品の特徴などをアピールし、視聴者の質問やリクエストにリアルタイムで応じながら販売する、新たなオンライン販売の手法です。
一方的な情報発信のみのテレビショッピングなどとは異なり、「視聴者とリアルタイムでコミュニケーションが取れる」という大きな特徴があります。
例えば、ECサイトの情報だけでは洋服のサイズ感や生地の質感がわかりにくい場合でも、ライブコマースであればライブ配信中に視聴者が気軽に質問できるため、実店舗での買い物のような体験がが可能です。
InstagramなどのさまざまなSNS媒体がライブコマースのプラットフォームとして利用されていることから、洋服をオンラインで購入する際の新たな方法として、ライブコマースを選択する消費者も増えています。
アパレル・ファッション業界でライブコマースが注目される理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、アパレル業界でも「対面以外で販売する手段」が必要となりました。そのため、オンラインでありながら実店舗さながらの販売が可能な、ライブコマースが注目されるようになったのです。
ライブコマースでは、視聴者は自宅にいながら店舗で接客を受けているような臨場感を味わうことができます。また、ECサイトに掲載されている情報以外に視聴者自身が知りたいことをその場で聞くことができるため、疑問や不安を解消したうえで商品の購入に踏み切ることができるのも大きなメリットです。
アパレル・ファッション業界でライブコマースを導入するメリット
アパレル・ファッション業界でライブコマースを導入すると、顧客に店舗まで足を運んでもらわなくても商品を購入してもらえるといったメリットがあります。
ここでは、アパレルやファッション業界でライブコマースを導入するメリットを3つ紹介します。
質感や使用感を説明できる
ECサイトと比較すると、ライブコマースでは生地の質感などのような、写真や文章だけではなかなか伝わりにくい情報を視聴者に説明できるメリットがあります。
ユーザーがECサイトで洋服を購入する際、「自分の体型に合うだろうか」「生地の厚みや色味が写真だけだとよくわからない」といった不安や疑問が出てくることは多いです。
ライブコマースなら、コーディネート例や実際に着用した際の様子なども詳しく紹介できます。また視聴者も何と組み合わせて着たらよいかといった質問もその場でできるため、より実店舗に近い感覚で買い物をしてもらえるのです。
顧客の疑問をすぐに解決して購入につなげられる
ライブコマースでは、顧客の疑問をリアルタイムで解決して購入につなげられるというメリットもあります。
アパレル商品の購入では、商品に対して少しでも不安や疑問が残っていると、ユーザーは購入をためらってしまう傾向が強いです。しかし、ライブコマースであれば、視聴者の質問に対してその場で回答ができるため、ユーザーの満足度向上につながります。
また、ライブコマースでは紹介された商品をライブ配信中に購入することも可能です。視聴者の購買意欲が高まっているタイミングでアクションを起こさせる環境が整っているので、売上にもつながりやすいといえます。
ブランドのファンを増加させられる
ライブコマースでは、視聴者にとって有益な情報や魅力ある動画コンテンツを提供できるため、会社やブランドのファンを増やせる効果も期待できます。
ファンが増えるとライブコマースの利用者も増えて、自社商品を購入してもらいやすくなり、売上アップにつながるでしょう。
アパレル・ファッション業界でライブコマースを導入する場合の注意点
商品の特徴をわかりやすく伝えられるライブコマースですが、ただ導入するだけでファン獲得や売上アップつながるわけではありません。
ここでは、アパレル・ファッション業界でライブコマースを導入する場合の注意点を2つ紹介します。
集客方法を考える必要がある
ライブコマースでは、事前の告知をしっかりしないままライブ配信をすると、視聴者がほとんど集まらない可能性が高いです。せっかくライブ配信をしても、視聴者が少なければ目標とする売上には到達しづらいでしょう。
ライブ配信の集客をおこなうためには、SNSアカウントやメルマガ、自社サイトのバナーなどを使って告知する方法があります。より効果的に集客できるよう、日頃からSNSアカウント運用に注力してフォロワー数を増やしたり、一度ではなく繰り返し告知したりといった工夫が必要です。
配信者の言動や行動による信用低下のリスクがある
ライブコマースに外部のインフルエンサーを配信者として起用すると、集客しやすいというメリットがあります。反対に、インフルエンサーの失言や不用意な振る舞いによっては、ブランドイメージが傷つくことや、信用低下につながる可能性もありえます。
ライブ配信ではやり直しがきかないため、事前のマニュアル作成によって配信者に注意点を理解してもらったり、入念なリハーサルによって想定外の事態にも不適切な対応を取らないよう、準備をする必要があります。
アパレル・ファッション業界のライブコマースの成功事例
アパレルやファッション業界でのライブコマースの成功事例は、すでにいくつもあります。
例えば、世界で5,000万ユーザーが利用している、日本最大級のライブ配信アプリ「17LIVE(イチナナ)」では、新商品であるメンズ用の着圧ソックス「メンズ用メディキュット」のライブ配信で、2,000個を売上ることに成功しました。
その他にも、17LIVE(HandsUP)では、アパレルから化粧品会社、個人の方まで、成功事例がコンスタントに創出されています。
アパレルA社 | ライブ視聴者の50%が来店。そのうち30%が商品を購入 |
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化粧品B社 | 1配信だけで1億円以上の売上に成功。特定商品のEC売上のうち、ライブコマース経由での売上が33%を占める |
アパレルC社 | 月に10回以上配信し、EC売上の10%がライブコマース経由に |
個人の方 | 配信ライブの月商が1,500万円突破した人や、念願の実店舗をオープンした人など、ライブコマースでの売上や集客数アップに成功 |
ターゲットに合わせて配信者を決定したり、ユーザー目線で使用感や特徴を丁寧に紹介したりすることで、視聴回数やファンが増加し、売上アップにつながっています。
アパレル・ファッション業界でライブコマースを成功させるポイント
アパレルやファッション業界でライブコマースを成功させるためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。ここでは、アパレルやファッション業界でライブコマースを成功させるためのポイントを5つ紹介します。
ターゲットにあわせて企画と配信者を決める
ライブコマースを始める際に大切なのは、ターゲットに合わせて企画や配信者を決めることです。
ターゲットを定めないままなんとなく配信者を決定すると、視聴者に効果的なアプローチができず売上につながらなかったり、そもそも集客につながらず視聴者数の少ない配信になってしまったりする可能性があります。
たとえ有名なインフルエンサーだったとしても、ターゲット層に合っていなければ、想定した成果につながりません。自社商品のターゲット層とインフルエンサーのフォロワー層が一致しているかを見極めることが重要です。
もし、配信者が自社商品についての知識がない場合は、資料を用意して事前に商品知識を深めてもらいましょう。
商品の着こなし方や質感などの詳細を伝える
画像や文字だけではわかりづらい、着こなしや質感といった情報まで伝えられることが、ライブコマースのメリットです。
そのため、そうした細かい部分を伝えられる内容にしなければ、ライブコマースのメリットを活かしきれません。
例えば、着用しているモデルやスタッフの身長、骨格スタイルを伝えたり、「サラサラした生地感」「吸い付くような肌ざわり」など、感覚的な表現を届けたりすることが大切です。
さらに、視聴者が買いたくなるようなおすすめポイントも紹介できれば、購買意欲アップも期待できるでしょう。
ユーザーとのやりとりに時間を使う
ライブコマースでは、ライブ配信中に視聴者とコミュニケーションを取りながら、店舗にいるような感覚で買い物体験ができるのが大きな魅力です。そのため、ライブ配信中にコメントされた視聴者の質問にはできるだけ多く対応することが重要です。
とくに、アパレル商品では「低身長や高身長でも似合うのか」や「体型で気になる部分を隠してくれるデザインなのか」など、ユーザーは多くの不安や疑問を抱いています。
多くの質問に回答してそれぞれの疑問を解消することで、購入をためらっていた障壁を取り除けるため、ユーザーの満足度向上が目指せます。自社の商品のアピールだけでなく、ユーザーとのやりとりを重視することで、一方通行のコミュニケーションになりやすいテレビショッピングやECサイトでの販売との差別化にもつながるのです。
データを分析して効果を確かめる
ライブコマースを成功させるためには、分析をおこなうことが重要です。データを分析し、視聴者の反応や受け入れられた要素、改善すべき点などを評価しながら、継続的な改善を繰り返す作業が不可欠です。
分析をする際は、以下のデータを中心に見ていきましょう。
・視聴者数
・ユーザーの反応(リアクション数やコメント)
・視聴者の離脱率
・コンバージョン率
視聴者がどのような商品やトークに注目しているのかを分析しながら、改善のサイクルを繰り返すことで、ライブコマースの売上を伸ばしやすくなります。
配信を残していつでも視聴・購入できるようにする
ライブコマース配信後はアーカイブを残して、配信終了後でも再視聴や購入ができるように設定しておきましょう。
リアルタイムでの配信を楽しみにしていても、仕事や別の予定で視聴ができなくなってしまう人も多くいます。また、ライブ配信中に購入するかどうか迷ってしまい、「もう一度ライブ配信を見て検討したい」と思う人もいるでしょう。
購入を迷っている人が再視聴できるようにアーカイブを残しておくことで、売上の向上につながります。
アパレル・ファッション業界とライブコマースの相性はよい
商品の質感や特徴を説明しながらリアルタイムで視聴者とコミュニケーションが取れるライブコマースは、アパレルやファッション業界と相性のよい販売方法といえます。
ライブコマースを成功させるためには、視聴者目線でわかりやすく商品の詳細を伝えて、視聴者とのやりとりを増やし、満足度を上げることが大切です。また、配信後はデータを分析しながら改善していくことで、より認知や売上の向上へとつなげられるでしょう。新しい販売チャネルとして、ぜひライブコマースの導入を検討してみてください。