ECの新たな形「ライブコマース」とは?メリットや成功させるポイントも解説

2023年9月7日

新たなオンライン販売の手法として近年注目を集めているライブコマースですが、ECサイトと具体的に何が違うのかわからない方も多いのではないでしょうか。

ライブコマースを最大限に活用するためには、その仕組みや導入メリット、デメリットについて理解することが重要です。

そこで本記事では、ライブコマースとECサイトの違いや、ライブコマースを活用するメリット・デメリットについて解説します。また、ライブコマースを成功させるためのポイントについても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

【新たなEC】ライブコマースの仕組みとは?

【新たなEC】ライブコマースの仕組みとは?

ライブコマースとは、ライブ配信を通じて商品を販売する手法を指します。主にSNSや専用のアプリを使ってライブ配信をおこない、そのなかで紹介された商品を視聴者はその場で購入することができます。

ライブコマースでは、動画配信のように一方的な商品紹介ではなく、視聴者からの感想や質問に答えながらより多面的に商品の特徴を説明できるという特徴があります。配信者とリアルタイムでコミュニケーションを交わすことで、視聴者は商品をより深く理解でき、購買意欲を高められる効果が期待できるでしょう。

視聴者と配信者との間で双方向性のある接客をおこなえる点が、ライブコマースの強みです。

ライブコマースとECサイトの違い

ライブコマースと一般的なECサイトとの主な違いは、ライブ配信の有無や、配信者と視聴者間で双方向のコミュニケーションが取れる点にあります。

ECサイトは基本的に一方向からの情報発信であり、ユーザーは商品ページでの説明文やレビューなどをもとに購入判断をします。多種多様な商品を好きなタイミングで購入できるというメリットはありますが、商品によってはECサイト上の情報だけではイメージをつかみにくく、購入を躊躇されてしまうことも多いでしょう。

一方、ライブコマースでは、実際に商品の使い方をデモンストレーションしたり、視聴者の質問に対してリアルタイムで回答したりといった、より具体的な商品情報の共有ができます。

これにより、視聴者は商品購入時の不安や疑問を解消できます。また、配信者は視聴者とのコミュニケーションを通じて商品の魅力をより熱量を持って伝えることが可能です。

ライブコマース市場は中国で急成長

ライブコマース市場は中国で急成長

中国では大手EC企業が参入したことで、ライブコマース市場が急速に拡大しました。市場規模は2020年には1兆500億元(日本円で約20兆8,600億円、1元=約19.8円)に達しています。また、2020年末時点での利用者は3億8,800万人で、インターネット利用者の39.2%を占める規模に成長しているのです。

さらに、中国ではライブコマースを専門におこなう配信者も多く、配信者の人気もライブコマース市場の拡大を後押ししています。例えば、2020年に中国でもっとも多くの売上を出した配信者は薇婭(viya)氏で、その売上は310億円以上です。

参考:ライブコマース、健全な発展を見据えて(中国) | 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ

中国におけるライブコマースの市場規模と配信者の影響力の大きさがうかがえます。

日本国内のライブコマース市場規模

日本におけるライブコマースの認知度は中国ほど高くはありませんが、実は日本国内でもライブコマース市場は拡大傾向にあります。

企業にとってはスタッフの有効活用と売上の確保、購入者にとっては実店舗で接客を受けているかのような体験ができるメリットがあり、コロナ禍以降、少しずつライブコマースを活用する企業が増えました。

実際ライブ配信事業全体でみると、株式会社サイバーエージェントの連結子会社である株式会社CyberZと株式会社OENの調査では、2020年には140億円の見通しであったデジタルライブエンターテイメントの市場規模は、2023年には700億円、2024年にはおおよそ1,000億円を超える規模に成長する見込みです。(Copyright © CyberAgent, Inc. All Rights Reserved.)

参考:デジタルライブエンターテインメント市場規模は急拡大。2023年に700億円超、2024年には約1000億円へ | CyberZ|スマートフォン広告マーケティング事業

中国と比較するとまだまだ大きいとはいえないものの、確実に市場規模が拡大していることがわかります。

ライブコマースを企業活用する4つのメリット

ライブコマースを企業活用する4つのメリット

急成長しているライブコマース市場ですが、実際に導入することでどのようなメリットを得られるのでしょうか。

ここでは、ライブコマースを企業で活用する4つのメリットを紹介します。

ECサイトのデメリットを解消できる

ECサイトで商品を販売する際のデメリットは、ユーザーが写真と文字情報でしか商品を確認できない点です。これにより、商品の詳細がわからない、一方的な情報提供で疑問が残るといった課題が発生します。

一方で、ライブコマースはリアルタイムで商品を紹介できるため、商品の特徴や使い方を詳しく伝えることが可能です。とくに、ECサイトではわかりにくくなりがちなサイズ感や生地感といった部分が、視聴者に伝わりやすいというメリットがあります。また、実際の使用シーンを見せることで、視聴者はより納得感を持って商品を購入することが可能です。

配信者とのコミュニケーションにより購買体験が向上する

ライブコマースでは、その場で寄せられた質問に回答するなど、リアルタイムのコミュニケーションを通じて視聴者に商品の魅力をアピールすることができます。販売員から実際に接客を受けているような感覚を味わえる点が、視聴者の購買体験の向上につながります。

また、ライブコマースの配信そのものが動画コンテンツとしても楽しまれるため、このような点も視聴者の購買体験の価値を上げているといえるでしょう。

動画閲覧から購入までの導線がスムーズ

視聴者の購入意欲を高めながら、スムーズに購入へと導ける点も、ライブコマースのメリットです。

ライブコマースは、商品の説明から購入までの導線を重視して設計されています。ライブ配信の視聴から購入までがひとつのプラットフォーム上で完結するため、視聴者は他のサイトやアプリに移動することなく、スムーズな買い物が可能です。

インフルエンサーの影響力を借りられる

ライブコマースをおこなうにあたり、視聴者数や売上を大きく左右するのがインフルエンサーの存在です。多数のフォロワーを持つインフルエンサーは、商品やブランドの広告力をより高めてくれます。

インフルエンサーが自身の言葉で感想を述べることで、その商品に対する信頼性や説得力が増し、より高いコンバージョン率が期待できるでしょう。

また、商品自体を認知していなくても、インフルエンサーとのコミュニケーションが取れる点に魅力を感じ、視聴する視聴者も一定数存在します。そのため、これまで接点のなかった顧客層や、潜在層に対しても広くアプローチでき、新規顧客の獲得や商品知名度の向上が見込めます。

ライブコマースを活用する3つのデメリット

ライブコマースを活用する3つのデメリット

導入することでさまざまなメリットを得られるライブコマースですが、デメリットも存在します。ここでは、配信前や配信中に起こり得るデメリットについて解説します。

配信トラブルが起こる可能性がある

ライブコマースはリアルタイムで配信をおこないます。そのため、ライブ中に画面がフリーズしたり、音声が途切れたりした場合、視聴者の信頼性を損なうおそれがあるでしょう。

スムーズにライブ配信をおこなうためには、事前に配信テストを実施し、使用する機材に不備がないか、安定した通信回線を確保できているかを確認することが大切です。予備の機材やバックアップ用の回線も、念のため準備しておくとよいでしょう。

ただし、入念に準備をおこなっても、本番では何が起こるかわかりません。そのため、トラブルが起こったときの対処法について、スタッフや配信者と事前に打ち合わせをしておくと、リスクを最小限に抑えられます。

配信までの準備に時間がかかる

ライブコマースの効果を高めるには、準備に十分な時間をかける必要があります。目的に応じた配信者の選定や、台本制作、配信場所の確保など、十分な効果を狙う場合は、必要となる工数も多くなってしまうからです。

また、目標を達成するためには、事前の集客も重要です。フォロワー数やインプレッション数などの観点で、自社SNSアカウントの告知だけでは十分な広告効果を狙えない場合、他の広告手段の検討が必要となります。

配信の回数をこなし、準備のノウハウが身につくとある程度短縮はできますが、初めての配信では想定よりも時間がかかるケースもあります。

もしも、初めての配信で準備が不安な場合は、伴走型のコンサルティングサービスを利用することで、ライブコマースのプロに配信をサポートしてもらえるのでおすすめです。

配信者の言動によって信用性が左右される

配信者と視聴者がリアルタイムで交流できるライブコマースでは、配信者の人柄や商品に対する知識、視聴者への対応がダイレクトに評価され、売上へ影響が起こるため注意が必要です。

配信者は商品の見た目や機能を詳しく説明し、自分の感想や使用体験を共有しながら、視聴者からの信頼を得る必要があります。

一方で、配信者が誇張した宣伝をしたり、誤った情報を伝えたりすると信用は下がってしまうでしょう。もしも、信用が下がってしまうと、視聴者数が減ってしまったり、視聴者から説明が間違っているのではないかと不安に思われたりして、製品購入などの効果につながらないおそれがあるため注意が必要です。

EC×ライブコマースを成功させるポイント

EC×ライブコマースを成功させるポイント

ライブコマースのメリットを十分に発揮して売上を獲得するために、押さえておきたいポイントを紹介します。準備段階、配信中、配信後のポイントについて確認していきましょう。

出演者の起用は慎重に検討する

配信者は商品やブランドの理念を理解し、それを視聴者に伝えるスキルを持つ人物が理想です。単に人気のあるインフルエンサーを起用するだけでは、十分な効果は得られません。

配信者には、説得力のあるスピーキングスキルと、台本通りに進められる進行力、さらには視聴者からの質問に答えるアドリブ力などが求められます。また、反応が直接見れるライブコマースであるからこそ、視聴者のリアクションを読み取り柔軟に対応できる力も必要不可欠です。

さらに、説得力のあるライブコマースにするためにも、商品のターゲット層と配信者のフォロワー層との親和性は重要なポイントです。親和性が保たれることで、効果的に製品をPRでき、購入などにつながりやすくなります。

視聴者とのコミュニケーションを重要視する

ライブコマースの特徴である視聴者と配信者の双方向からのコミュニケーションは、視聴者を引きつけ、購買率の向上につながるポイントです。視聴者からのコメントに対してリアクション
するだけではなく、配信者側から積極的に問いかけたり、関心を引く話題を提供したりすることで、より深い関係性を構築でき、長期的なエンゲージメントを生む効果が期待できます。


また、沈黙や退屈な時間が続くと視聴者が視聴を途中でやめてしまうため、トークの内容や進行を工夫することも大切です。

配信後にデータの分析をおこなう

配信後に得られるデータを分析し、その結果を次回以降の配信内容に反映させることは非常に重要です。配信時間、視聴者数、コメント数、購入者数などのデータは、視聴者の行動パターンやニーズを把握し、次回以降の企画や改善策に活かすための貴重な情報になります。

配信回数を重ねるごとに配信内容や流れを最適化していけば、ターゲットとなる視聴者に対してより効果的に訴求する方法を見つけられるでしょう。

データ分析を経験と組みあわせて活用することで、ライブコマースの効果がより高まります。

自社に適したプラットフォーム・ツールを使用する

ライブコマースを実施する方法は、大きく分けると、YouTubeやInstagramなどを利用する「SNS型」、Yahoo!ショッピングや楽天市場など、既存のECモールが提供するプラットフォームを利用して配信をおこなう「ECモール型」、ライブコマース専用のアプリを使用する「アプリ型」、自社のECサイトやアプリにライブコマース機能を搭載させる「埋め込み型」の4つがあります。

それぞれの方法にメリットとデメリットがあるため、重視したい点や商材にあわせて選ぶことが大切です。

また、自社にノウハウがない場合は、ライブコマースの導入から運用まですべておまかせできる「伴走型ライブコマースソリューション支援会社」の活用がおすすめです。ライブコマースの導入、運用、分析までトータルでサポートを受けられるため、自社内でノウハウを蓄積できるというメリットもあります。

自社の予算にあわせて、どのようなプラットフォームやツールを活用するか、検討しましょう。

ライブコマースにはECサイトにはない魅力がある

ライブコマースにはECサイトにはない魅力がある

ライブ配信で視聴者とコミュニケーションを取りながら販売をおこなうライブコマースは、ECサイトとは異なる購買体験を視聴者に提供できる魅力があります。

今後、ライブコマースの市場規模はさらなる拡大が予想されるため、導入を検討している企業も多いでしょう。

新規で導入する場合は、日本最大級のライブ配信アプリである「17LIVE」を提供している17LIVE株式会社のライブコマース支援サービス、「HandsUP」がおすすめです。

HandsUPは、独自のツール提供に加えて、導入から運用まで一気通貫でサポートする伴走型ソリューションサービスとなります。また、PDCAを回しながら勝ちパターンが確立するまでサポートしてくれる、成功にコミットしたサービスも魅力です。

ライブコマースの導入を検討されている企業は、ぜひ「HandsUP」の利用をご検討ください。