BtoB領域での越境ECを成功させる方法とは?始めるメリットや課題・注意点も解説

2024年10月28日

越境ECは、企業間取引(BtoB)においても重要な手段として注目されています。グローバル市場で多くの顧客を獲得できる一方で、越境ECを成功させるためにはBtoB特有の課題や注意点を理解することが重要です。

そこで本記事では、BtoB領域で越境ECを始めるメリットと、注意すべき課題について詳しく解説します。また、越境ECを成功させるための重要なポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

BtoB領域での越境ECとは

BtoB領域での越境ECとは

BtoB領域での越境ECとは、グローバルな企業同士がオンラインショップを介して商取引をおこなうことです。

以前は、BtoB領域で越境ECを実現するためには、海外向けの自社サイトを運営したり、独自の販売インフラを構築したりする必要がありました。

しかし、アメリカのAmazonや中国の天猫国際といったBtoC市場が活発になるにつれ、BtoB市場でも越境ECが進展し、サービスを提供するプラットフォームが増加しています。

国内で需要が少ない商品でも、海外で人気があることがあり、さまざまな分野で新たなビジネスチャンスを生み出す手法といえるでしょう。

そもそもBtoBのECとBtoCのECの違いとは?

BtoBのECと、BtoCのECの違いを次の表にまとめました。

項目BtoBBtoC

販売対象

企業

個人(一般消費者)

価格の表示方法

取引相手によって価格が変わる

同一価格を表示

商品の表示方法

取引相手によって表示する商品が変わる

すべての商品を表示

決済方法

取引相手ごとに決済方法を設定する
掛け売り(請求書)などの商慣習への対応が可能

クレジットカード決済
コンビニ決済
代引き(代金引換)
電子マネー

BtoBでは、取引先によって発注量が大きく異なるため、大量に注文する取引先には商品の価格を割引するなど、取引先ごとに価格を変えることも珍しくありません。また、ライセンスの有無や業務提携の有無によって、特定の取引先にのみ商品を販売することがあり、取引先ごとに掲載する商品が異なるのが特徴です。

BtoB領域での越境ECサイトの種類は主に2種類

BtoB領域での越境ECサイトの種類は主に2種類

BtoB領域での越境ECサイトは、特定の顧客のみと取引をおこなうクローズドBtoB型と、不特定の顧客と取引をおこなうスモール型BtoBの2種類があります。ここでは、それぞれの目的や特徴について解説します。

クローズドBtoB型のEC

クローズドBtoB型のECサイトとは、登録した既存の顧客や招待した顧客のみが利用できるオンラインショップのことです。

このタイプのECサイトは、主に既存の顧客との継続的かつ頻繁な取引を目的とし、自社の注文処理業務の負担を軽減するために利用されます。また、一般には公開されていないため、取引価格を競合他社に知られる心配がありません。したがって、秘密保持が求められる場合にもおすすめです。

さらに、クローズドBtoB型のECサイトでは、同じ商品でも顧客ごとに異なる価格を設定したり、顧客ごとに閲覧できる商品を変えたりする機能を付けることもできます。これにより、優良顧客への特別対応や、自社の経営方針に沿った運用が可能となるでしょう。

スモールBtoB型のEC

スモールBtoB型ECサイトは、BtoCのECサイトと同じようにインターネットを通じてすべての顧客に対して公開されています。例えば、事務用品を販売する「アスクル」や、工業用資材を販売する「モノタロウ」などが、このタイプのECサイトです。

このスモールBtoB型ECサイトの主な目的は、新しい顧客を開拓して売上を増加させることとなります。個人や企業を問わず、誰でもサイトにアクセスして商品を閲覧・購入できるため、小口取引が中心の中小企業にもアプローチしやすいのが特徴です。

クローズドBtoB型のECサイトに比べて、サイトの構築が容易であることや、さまざまな支払い方法に対応できる柔軟性が高いこともメリットとなっています。

BtoB領域で越境ECを始めるメリット

BtoB領域で越境ECを始めるメリット

BtoB領域での越境ECは、世界中の企業をターゲットにできるためさまざまなメリットを得られます。ここでは、大きな4つのメリットについて解説します。

新市場へのアクセス

BtoB領域で越境ECを始める最大のメリットは、海外の新しい市場にアクセスできることです。地理的な制約を超えて、世界中の企業と取引ができるようになるため、ビジネスの機会が大幅に広がるでしょう。

国内では少子高齢化が進み需要が減少している市場もありますが、海外には多くの魅力的な市場が存在します。特に、アメリカを中心とした北米、ヨーロッパ、中国、東南アジアなどは、大きな人口を抱える市場です。

これらの市場に進出することで、異なるニーズやトレンドを把握し、新規顧客を獲得するチャンスが増えます。その結果、新たなビジネスチャンスを掴むことができるでしょう。

顧客基盤の拡大

世界中の企業を顧客とすることで、単純に顧客の数が増えるだけでなく、顧客のニーズを理解することにつながり、さらに顧客基盤を広げることができます。

特に海外には、高品質な日本製品に魅力を感じる顧客が多く存在します。こうした顧客は日本の商品価値を高く評価しており、リピート購入をしてくれる可能性が高いです。

BtoB領域での越境ECでは、新規顧客を獲得しながら既存の顧客を優良顧客として取り込むことができるため、顧客基盤を拡大しやすいというメリットがあります。さらに、さまざまな価値観や文化を持つ異なる市場での顧客基盤の拡大は、ビジネスリスクの分散にもつながるでしょう。

収益機会の増加

越境ECは世界中からいつでも受注できるため、収益機会が増えるメリットもあります。日本市場が活発でない深夜や早朝でも、インターネット環境さえあれば、どこからでも注文を受け付けることが可能です。

もちろん、注文処理、在庫管理、カスタマーサポートなどの運営体制を整えることが前提となりますが、24時間365日体制を構築することで収益機会を最大化できます。

さらに、時間や場所、人員に制約されない販売活動が可能となるため、機会損失を防ぎながら売上の向上も期待できるでしょう。

競争優位性の向上

BtoB分野での越境ECを活用して国際市場での存在感を強化することは、結果的に競争優位性を高めることにもつながります。

競争優位性を持つ企業は、競合他社と差別化できているため、過度な競争に巻き込まれずに高い利益率を維持しやすいです。また、有利なポジションを確保しやすく、市場シェアの拡大も期待できます。

さらに、国際的なビジネス実績を積み重ねることで市場からの信頼性も向上し、自社のブランド価値を高めることにもつながるでしょう。その結果、競争優位性をさらに維持しやすくなります。

BtoB領域における越境ECでの課題や注意点とは?

BtoB領域における越境ECでの課題や注意点とは?

BtoB領域での越境ECは、世界中の企業をターゲットとすることで多くのメリットを得られる一方、海外企業との取引において生じるリスクもあるため注意が必要です。ここでは、BtoB領域における越境ECで注意すべき4つの課題について解説します。

ロジスティクスと配送の複雑性

越境ECでは、国内のECに比べて配送が複雑になります。これは、国や地域ごとに物流インフラや関税が異なり、輸送ルートもそれぞれ異なるためです。

また、商品の輸送時間が長くなることで在庫管理が難しくなり、納期が遅れるリスクも高まります。さらに、長距離輸送に耐えられるような梱包が必要となり、その分の配送コストも国内ECより高くなるでしょう。

BtoBの越境ECにおいては、こうした複雑な配送を効率的におこなうためにロジスティクスの最適化が重要です。信頼性の高い物流パートナーの選定や、適切な在庫管理システムの導入など、物流プロセスを最適化することが求められます。

法規制とコンプライアンス

国や地域によって異なる法律や規制があり、商品を販売するにはそれぞれに対応する必要があります。同じ商品でも、国ごとの輸出入に関する法律や規則によって、販売できる国とできない国があります。

さらに、適切な手続きを踏まないと罰則や罰金が科せられる可能性もあるため、事前に必要な手続きを含めた貿易ルールを把握しておくことが重要です。特に、製品の認証や品質基準、税関手続きなどの法的要件を満たすために、確実なコンプライアンスが求められます。

コンプライアンスには、法律だけでなく、社会倫理やモラルといった明文化されていない社会的なルールの遵守も含まれます。専門の法務チームやコンサルタントを活用して、各国の規制に対応する準備を整えましょう。

言語と文化の壁

販売する国や地域によって使用される言語が異なるため、ECサイトの商品説明やカスタマーサポートを各国に適した言語に翻訳する必要があります。

近年では、AIを活用した自動翻訳ツールが多言語対応に利用されることが増えています。しかし、言語によっては翻訳の精度に差があり、不自然な文章になってしまうことも珍しくありません。

特に、メールやチャットでのやり取りにおいては、翻訳の質が低いと顧客に不信感を与えてしまう可能性があります。そのため、メールやチャットの対応が多い場合には、翻訳スタッフを雇うことも検討しましょう。

また、異なる文化を持つ顧客の特性を理解し、適切なマーケティング戦略を立てることも重要です。

支払いと通貨の課題

越境ECでは複数の通貨で取引をおこなうため、支払いに関する課題も生じる可能性があります。日本で一般的な決済サービスが、海外でも利用されているわけではありません。

例えば、中国では銀聯(ユニオンペイ)カードが主流であり、台湾ではクレジットカードに次いでコンビニ決済がよく利用されています。各国で頻繁に利用されている決済方法を導入しないと、魅力的な商品であっても購入機会を逃してしまう可能性があります。

確実に購入につなげるためには、各国の主流決済サービスを調査し、その国に合わせた決済手段を整備することが重要です。

BtoB領域での越境ECを成功させるためのポイント

BtoB領域での越境ECを成功させるためのポイント

BtoB領域での越境ECを成功に導くポイントは、展開先の調査と柔軟なマーケティング手法、そして成功事例を研究することです。ここでは、BtoB領域での越境ECを成功させるためのポイントについて解説していきます。

ECが発展している国や地域を調査し、適切にアプローチする

越境ECでは、展開する地域によって商品の売れ行きが大きく異なるため、まずはEC市場が発展している国や地域を調査し、自社商品がどの地域に適しているかを見極めることが重要です。

例えば、中国や東南アジアではEC市場が急速に拡大しており、これらの地域に適した商品がある場合は展開先として非常に有望です。特に中国ではライブコマース市場も成長しており、動画配信サービスを活用して自社商品を効果的にアピールできる環境が整っています。

ライブコマースを通じて越境ECに挑戦してみたいと考えている場合は、17LIVEが提供する越境コマース支援の利用を検討してみてください。17LIVEの越境コマース支援は、現地での販売から決済、物流までの全工程をワンストップでサポートします。ライブコマースによる越境EC展開をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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越境ECを展開する国に合わせてマーケティング手法を柔軟に変える

どの国や地域でも同じ販売手法を使うだけでは、売上を伸ばすことは難しいです。それぞれの国や地域には異なる文化や価値観があるため、現地の状況を事前に調査し、最適なプロモーション戦略を立てる必要があります。

越境ECを成功させるためには、展開先の文化や価値観に合わせた商品広告や、現地のトレンドを反映したマーケティング手法を柔軟に取り入れることが重要です。現地企業への効果的なアプローチ方法を見極め、顧客への訴求に活用することが成功の鍵となるでしょう。

BtoBの越境ECの成功事例を参照・研究する

越境ECで成功するためには、他社の成功事例を調査・研究し、それを自社に活かすことも重要です。例えば、老舗ディスカウントショップのA社は、自社の強みである酒類卸事業を強化し、海外展開をおこなっています。

A社は、東海4県を中心とした数多くの酒蔵から海外販売の許可を取得し、高品質な商品を揃えて、中国のECサイトAlibabaでの販売を開始しました。

中国市場では、日本酒の多くが偽物として出回っていますが、A社は100年以上の歴史と高品質な日本酒を提供することで、高い信頼性を得て売上を増加させています。

さらに、A社は国際ビジネスの専門人材を採用し、コンサルティング会社のサポートを受けながら、新しい海外取引先を増やすことにも成功しました。

この事例からわかることは、現地市場の需要を正確に把握し、信頼性のある商品を提供することが成功の鍵であるということです。自社が取り扱う製品についても、現地市場の状況を十分に調査することが重要です。

BtoB領域での越境ECは国外への販路拡大に効果的

BtoB領域での越境ECは国外への販路拡大に効果的

BtoB分野における越境ECは、今後も成長が見込まれる注目の市場です。海外の多くの企業と取引をおこなうことで、収益機会が増え、ブランド価値も向上するでしょう。

しかし、法規制や文化の違い、決済に関する問題に対応するための準備が必要です。各国の文化や価値観に合ったマーケティング手法を採用し、これらの課題を解決するサービスを活用することで、成功の可能性が高まります。

BtoB領域での越境ECを活用して、新たな市場を開拓することに挑戦してみてください。

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