食品を越境ECで販売する方法とは?販売するメリットや市場規模、おすすめの食品の要素も解説

2024年6月28日

海外での日本食品への関心が高まり、多くの企業や個人が越境ECを通じて食品を販売することを検討しています。

しかし、食品の越境EC販売には、賞味期限や保存方法、輸送中の品質管理など、慎重に対処すべき課題が数多く存在するため注意が必要です。そこで本記事では、日本の食品を越境ECで販売するメリットやその市場規模、さらに越境ECに向いている食品の要素について解説します。

日本食品の越境EC市場規模

日本食品の越境EC市場規模

「平成29年度 日本からの電子商取引(EC)を用いた農林水産物・食品の輸出に関する調査」によると、2017年の越境ECを利用した日本食品の輸出市場規模は1,574億円に達しています。食品の種類ごとに確認すると、菓子や調味料、緑茶、そして健康食品は特に割合が大きいです。

これらの商品は、その保存性の高さとコンパクトなサイズから海外販売に適しているとされています。具体的には、健康食品が最大のセグメントを占め、市場の39%に相当する613億円を記録しました。ついで菓子が404億円で全体の26%を占めるなど、高いシェアを誇っています。

一方で、穀物や生鮮品は賞味期限の短さや輸送時にかさばる特性があるため、比較的輸出額が少額です。

参考:農林水産省「平成29年度 日本からの電子商取引(EC)を用いた農林水産物・食品の輸出に関する調査」

アジア大洋州の市場規模が8割を占める

日本からの食品における越境EC市場は、特にアジア大洋州(アジア地域とオセアニア地域)で顕著な成長を見せており、その市場規模が全体の約82%を占めています。

大きな割合を占めている背景には、中国の巨大な市場とその経済力、消費者数の多さがあります。さらに、東南アジア諸国のEC市場も急速に拡大しており、日本食品の新たな輸出先として期待されていることもその要因です。

越境ECを活用して食品を販売する3つのメリット

越境ECを活用して食品を販売する3つのメリット

越境ECを利用することで、国内市場を超えて全世界に向けて日本の食品を販売できるため、新たな市場を開拓し、売上を大幅に拡大させることも可能でしょう。ここからは、越境ECを活用して食品を販売するメリットについて紹介します。

海外ユーザーの獲得により売上拡大が可能

越境ECは、国境を越えてさまざまな商品を販売することが可能であり、日本の人口が減少する中で、海外市場へのアクセスはビジネスの新たな成長機会を提供します。

特に経済発展が進む中国やASEAN諸国の市場をターゲットにすることで、大規模な新規顧客を獲得でき、持続可能な事業拡大を図ることが可能となるでしょう。これらの市場では中産階級の増加に伴い消費力も向上しており、質の高い日本食品に対する需要が高まっています。

越境ECを活用すれば、地理的な制約を超えて幅広い顧客層にリーチすることが可能となり、国内市場だけでは得られない売上の増大が期待できます。

日本の食品の品質の高さを強みにできる

日本製品は国際的に高品質で知られており、安全で信頼性の高い製品として海外市場でも一定の評価を得ています。特に、食品安全に対する厳しい基準をクリアしているため、健康志向の強い海外の消費者から人気を集めています。

このような背景から、越境ECを利用してこれらの高品質な食品を海外に提供することは、日本の企業にとって競争優位をもたらすでしょう。

さらに、訪日観光客が体験した日本食の魅力によりリピーターの獲得もしやすいため、国際的なブランド価値が高い日本食は越境ECにおすすめの商品といえます。

実店舗を運営するよりもハードルが低い

海外での実店舗展開は、立地選びから始まり、店舗設計、建築、運営まで多大なコストと時間が必要とされます。これに対して、越境ECはインターネットを通じて運営されるため、これらの初期投資や固定費を削減できる点が大きなメリットです。

また、オンラインプラットフォームの利用により、商品の展示から販売、顧客サービスに至るまでのプロセスをデジタル化し、全世界のどこからでもアクセスが可能となります。

この低コストかつ高効率のビジネスモデルは、新興市場への進出を計画している企業にとって魅力的であり、ビジネス拡大につながるでしょう。

越境ECに向いている食品の要素

越境ECに向いている食品の要素

国際市場での販売を検討する際、越境ECに適した食品の特性を理解することは非常に重要です。ここでは、越境ECに向いている食品の特徴を3つ紹介します。

軽量かつ体積が小さいこと

越境ECにおいて、商品の軽量性と体積の小ささは、非常に重要な要素です。商品が軽いほど輸送中のコストが削減され、より多くの商品を一度に運べるため、効率的な配送が可能となります。

軽量で体積が小さい食品であれば、一回の輸送でより高い収益を上げることができるようになるでしょう。

さらに、軽量でコンパクトな商品は配送時の破損リスクも低減されるため、商品の品質を維持しやすく、顧客満足度を高めやすくなります。

賞味期限が長いこと

食品の賞味期限の長さも非常に重要です。長い賞味期限を持つ商品は、長期間の輸送や保管中でも品質を維持でき、消費者に商品の鮮度と品質を保証できます。

菓子類や乾麺、ドライフルーツ、保存食などの製品は、その保存性の高さから国際市場での取り扱いが容易で人気がある食品です。海外に向けて販売するということは、製造から消費者の手元に届くまでの時間が長くなる可能性が高いため、賞味期限が長い食品の販売を検討しましょう。

常温で配送できること

常温で配送可能な食品も、越境ECにおいて有利です。冷凍や冷蔵が必要な食品と比較して温度管理が不要な商品は、輸送と保管が容易であるため、配送コストが低くなりやすいです。

また、長距離輸送中でも品質が損なわれるリスクが低く、購入者の手元に届くまでの品質維持にもつながります。

さらに、常温で保管できる食品は地理的な制約が少なく、世界中どこでも展開しやすいメリットがあります。輸送方法によっては常温でしか対応していない可能性もあるため、輸送手段が絞られないことも魅力的です。

越境ECで食品を販売する方法

越境ECで食品を販売する方法

越境ECで日本食品を効果的に販売するには、国内で自社の越境ECサイトを構築する方法と、大手ECモールへ出店する方法があります。それぞれの方法のメリットや戦略的な利用方法について解説します。

日本国内で越境サイトを構築する

越境ECの自社サイトを国内で構築する方法では、自社ブランドに合わせて、自由にカスタマイズできるというメリットがあります。

新たに専用の越境ECサイトを立ち上げる方法のほかに、既存の国内向けECサイトを多言語化し、多通貨対応を施して国外からのアクセスにも対応する方法もあります。

ただし、越境ECサイトを自社で構築する際には、言語だけでなく、カスタマーサポート、国際配送の手続き、外国通貨での決済システムなど、海外の市場に合わせた細かなシステム設計が必要です。

そうすることによりブランドイメージを保ちつつ、グローバルな視点での戦略的なブランディングが可能となるため、競合サイトとの差別化が図れます。

進出したい国のECモールやECサイトサービスに出店する

進出希望国の主要なECモールへの出店は、迅速かつ低コストで越境ECにチャレンジできるという点でメリットがあります。

中国の天猫国際(T-Mall Global)、京東国際(JD Worldwide)やアメリカのAmazon、eBay、東南アジアのLazada、Shopeeなどが、大規模なECモールの代表例です。これらのプラットフォームはすでに多くの現地消費者に利用されており、高い信頼性と大規模なネットワークがあるため、新規顧客の獲得が容易になります。

ただし、出店には審査が必要な点や、出店手数料、販売手数料が発生する点には注意が必要です。特に、法的な手続きが必要な市場では、これらのプロセスを専門の代行会社に依頼したり、コンサルティング会社に確認してもらったりして、違反のないようにしましょう。

越境ECで食品を販売する場合に確認しておきたい注意点

越境ECで食品を販売する場合に確認しておきたい注意点

越境ECを通じて食品を国際市場に展開する際には、市場の特性を理解し、販売戦略を適切に立てることが成功のカギとなります。ここからは、特に注意しておきたい販売戦略の明確化、輸入規制の理解、販売国の法律や制度への対応について解説します。

販売戦略を明確にする

越境ECの成功は、明確で適切に調整された販売戦略を立てられるかがカギになります。

国際市場でのビジネスでは、文化の違いを考慮した緻密な市場調査が必要です。ターゲット市場を特定し、その地域の消費者ニーズや好み、購買行動を理解することが不可欠となります。さらに、競合との差別化を図るためには、自社商品の独自性を強調し、地域特有の市場動向に合わせた製品提案が求められます。

また、食品の販売においては、価格競争に加えて商品のボリュームやパッケージデザイン、特典付きの販売戦略も重要です。

例えば、セット販売や大容量パック、限定版商品、顧客への特典などを提供することで、単発の購入ではなく継続的な顧客関係を築くことが可能となります。

輸入規制品に注意する

越境ECで食品を販売する際には、各国が設けている輸入規制を理解し、対応することが極めて重要です。

特に、食品は健康に直接関係するため、各国が厳格な規制を設けています。例えば、アメリカではアルコール飲料、食肉、乳製品などはFDA(アメリカ食品医薬品局)の許可が必要であり、輸入には特定の基準が設けられています。

また、中国では小麦やトウモロコシ、コメ、砂糖などが輸入制限品として指定されており、輸入する場合には注意が必要です。規制については国や地域によって異なるため、販売しようとする市場ごとに最新の規制情報を入手し、適切な手続きをおこなうことが求められます。

事前に輸入規制品についての情報を確認し、遵守することで、販売過程での法的なトラブルを避け、円滑な商取引を保証することが可能です。

販売国の法律や制度を確認する

各国には独自の食品安全法規や輸入規制が設定されており、違反した場合は法的な処罰が下される可能性があります。そのため、販売を希望する国の法律を調査し、必要な販売ライセンスを取得することが必須です。

また、商品のパッケージには、栄養成分表示、原材料の明確な表示、原産国の明示が法的に要求されることが多いです。これらの情報を適切に表示することで消費者の信頼を獲得し、トラブルを避けることが可能となります。

さらに、特定の成分に対するアレルギー表示などに関しても、事前にリサーチと準備をおこなっておきましょう。

配送にかかる日数やコストを把握する

配送日数とコストを正確に把握し、最適化することで、コスト効率のよい運営が可能となり、消費者に新鮮な状態で商品を届けることができます。コストの効率化を狙うためには、効率的な物流ルートの選定、信頼できる配送パートナーとの協力、そして時には特別な包装技術の導入が必要です。

また、食品の国際配送においては、品質維持と破損防止が重要な課題となります。特に食品は、その性質上品質が変化しやすいため、物流事業者には配送品質の高さが求められます。

さらに、食品の中には賞味期限が短い商品もあるため、注文から配送までの時間をいかに短縮できるかが極めて重要です。

販売国に合わせた決済方法を用意する

国際販売においては、販売対象国の文化や市場の特性に合わせた決済方法の提供が欠かせません。展開する国の消費者の決済習慣を理解し、多様な決済オプションを用意することが重要です。

例えば、中国ではAlipayやWeChat決済、銀聯カード決済が主流であるため、電子決済を中心にサポートすることが市場での成功につながるでしょう。

食品の越境ECでライブコマースをするなら「HandsUP by 17LIVE」がおすすめ

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越境ECにおける食品販売でライブコマースの導入も検討している場合は、「HandsUP by 17LIVE」の活用をご検討ください。HandsUP by 17LIVEは、初期導入から運用、売上拡大に至るまでを一貫してサポートする伴走型ソリューションを提供します。

使いやすいライブコマース支援ツールと総合的なサポート体制で、企業が直面する課題を解決することが可能です。

また、越境EC分野では、初期費用を抑えた越境ライブ・ソーシャルコマースを提供しています。現地のKOL(キーオピニオンリーダー)による実演を交えた販売により、最適なマーケティングを実現しながら、販売経路の確保が可能です。

食品においても、現地で取引可能な商品や、販売に向いている商品の判別をおこなえるため、初めて食品の越境ECに挑戦する企業におすすめのサービスです。

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食品の越境ECはアジア圏がおすすめ

食品の越境ECはアジア圏がおすすめ

食品の越境ECに挑戦する場合、アジア市場は非常に魅力的な地域です。人口が多く経済成長が著しいアジア諸国では、日本食品の需要が急速に高まっています。

特に中国や東南アジアの国々は、消費者の購買力が増加しており、日本の健康的で質の高い食品に対する関心が高まっているため、積極的に狙いたいところといえるでしょう。

また、ライブコマースなどのデジタルマーケティング戦略を活用することで、地元の消費者に直接アプローチし、より効率的に市場浸透を図ることが可能です。それぞれの国の文化や法規制に適応し、地域に根ざした販売戦略を展開していき、越境ECを成功できるようにチャレンジしてみてください。